歯科医院外来患者における口腔機能の主観的症状と口腔機能低下症との関連についての横断研究

目的:患者の主観的な訴えから口腔機能低下症のスクリーニングを可能にするために,口腔機能に関する質問票による主観的評価と口腔機能低下症の関連を明らかにすることを目的とした。 対象と方法:東京都および千葉県の3歯科医院で定期健診を受診した者で,今回の研究に同意した40歳以上の患者151名(男性38名,女性113名,平均年齢71.0±11.3歳)を対象とした横断研究を実施した。口腔機能に関する9問の質問票による主観的評価と口腔機能精密検査を行った。主観的な訴えの有無と口腔機能低下症の有無との関係を検討するためχ2検定を行った。主観的評価の該当数と口腔機能低下症の罹患の有無について,ROC曲線による分...

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Published in老年歯科医学 Vol. 37; no. 3; pp. 239 - 245
Main Authors 久保, 慶太郎, 眞田, 知基, 河野, 立行, 齋藤, 壮, 堀部, 耕広, 荻原, 俊美, 竜, 正大, 上田, 貴之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年歯科医学会 31.12.2022
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Summary:目的:患者の主観的な訴えから口腔機能低下症のスクリーニングを可能にするために,口腔機能に関する質問票による主観的評価と口腔機能低下症の関連を明らかにすることを目的とした。 対象と方法:東京都および千葉県の3歯科医院で定期健診を受診した者で,今回の研究に同意した40歳以上の患者151名(男性38名,女性113名,平均年齢71.0±11.3歳)を対象とした横断研究を実施した。口腔機能に関する9問の質問票による主観的評価と口腔機能精密検査を行った。主観的な訴えの有無と口腔機能低下症の有無との関係を検討するためχ2検定を行った。主観的評価の該当数と口腔機能低下症の罹患の有無について,ROC曲線による分析を行った。有意水準は0.05とした。 結果と考察:対象者151名中,主観的な訴えが1つ以上あった者は107名(70.9%)であった。主観的な症状があり,かつ,口腔機能低下症に該当した者は46名(30.5%)であり,主観的な症状の有無と口腔機能低下症の有無とに関連を認めた(p=0.003)。ROC曲線による分析では,主観的評価の該当数が1以上の場合で,感度88.5,特異度38.9,AUC 0.64となり,感度と特異度の合計が最も高くなるカットオフ値となった。本研究結果から,質問票による主観的な症状の有無が口腔機能低下症のスクリーニングになる可能性が示唆された。
ISSN:0914-3866
1884-7323
DOI:10.11259/jsg.37.3_239