頚動脈狭窄症に対する外科治療の変遷 ─単一施設の過去20年・連続1,057例の検討
アテローム性動脈硬化に伴う頚動脈狭窄症は,脳梗塞の主要な原因の1つである.当院では,2001年の開院以来,頚動脈狭窄症の外科治療の第一選択として,血栓内膜剝離術(CEA)を行ってきたが,2011年以降は頚動脈ステント留置術(CAS)の症例数は徐々に増加し,CASはCEAの代替治療として確立している.過去20年間の頚動脈狭窄症に対して治療を行った連続1,057例のCEAとCASの治療成績を比較検討した.背景として,平均年齢はCEA群で70.9歳,CAS群で75.1歳でCAS群でより高齢であり,性別,症候性率,狭窄率(NASCET)は両群間で有意差は認めなかった.全身麻酔率はCEA群で100%,C...
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Published in | 脳卒中の外科 Vol. 53; no. 3; pp. 160 - 164 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
2025
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Subjects | |
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ISSN | 0914-5508 1880-4683 |
DOI | 10.2335/scs.53.160 |
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Summary: | アテローム性動脈硬化に伴う頚動脈狭窄症は,脳梗塞の主要な原因の1つである.当院では,2001年の開院以来,頚動脈狭窄症の外科治療の第一選択として,血栓内膜剝離術(CEA)を行ってきたが,2011年以降は頚動脈ステント留置術(CAS)の症例数は徐々に増加し,CASはCEAの代替治療として確立している.過去20年間の頚動脈狭窄症に対して治療を行った連続1,057例のCEAとCASの治療成績を比較検討した.背景として,平均年齢はCEA群で70.9歳,CAS群で75.1歳でCAS群でより高齢であり,性別,症候性率,狭窄率(NASCET)は両群間で有意差は認めなかった.全身麻酔率はCEA群で100%,CAS群で3.1%,平均手術時間は178分と43分,平均入院期間は16.9日と9.9日であり,CASは局所麻酔下で施行され,手術時間や入院期間は有意に短い結果であった.治療成績に関して,術後のDWI陽性率はCEA群6.5%,CAS群38%とCASで有意に高いが,術後のmodified Rankin scaleの悪化を伴う脳卒中は1.6%と1.5%で有意差を認めなかった.再治療を要する再狭窄はCEA群で3.1%,CAS群で3.7%と有意差はなかったが,再治療までの期間は43.9カ月と12.4カ月であり,CEA群で有意に再狭窄までの期間が長かった.過去20年でCEAとCASを比較してみると,CEAは550例中にmortality 4例で0.7%,morbidity 5例で0.9%であり,CASは507例中にmortality 0例で0%,morbidity 4例で0.6%であったが,統計学的には両群間で死亡や後遺症を伴う合併症に有意差を認めなかった. |
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ISSN: | 0914-5508 1880-4683 |
DOI: | 10.2335/scs.53.160 |