右非反回下喉頭神経を伴った甲状腺腫瘍の 1 例

甲状腺手術では、反回神経を温存するため慎重な手術操作が必要とされるが、反回神経はまれに鎖骨下動脈起始異常に伴い迷走神経から直接分岐する非反回下喉頭神経(non-recurrent inferior laryngeal nerve;NRILN)となることがある。今回、右鎖骨下動脈起始異常に伴う NRILN を認めた甲状腺腫瘍の 1 例を経験した。症例は 68 歳、女性。甲状腺良性腫瘍の診断で甲状腺右葉切除術の方針とした。術中に下甲状腺動静脈を同定し、その深部の傍気管脂肪織内で反回神経を探したが同定できなかった。輪状軟骨下縁で反回神経を同定し神経を追うと、迷走神経から直接分岐しており NRILN...

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 70; no. 2; pp. 95 - 100
Main Authors 山内, 盛泰, 倉富, 勇一郎, 陣野, 智昭, 嶋崎, 絵里子, 宮崎, 純二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 20.03.2024
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ISSN0447-7227
2185-1034
DOI10.11334/jibi.70.2_95

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Summary:甲状腺手術では、反回神経を温存するため慎重な手術操作が必要とされるが、反回神経はまれに鎖骨下動脈起始異常に伴い迷走神経から直接分岐する非反回下喉頭神経(non-recurrent inferior laryngeal nerve;NRILN)となることがある。今回、右鎖骨下動脈起始異常に伴う NRILN を認めた甲状腺腫瘍の 1 例を経験した。症例は 68 歳、女性。甲状腺良性腫瘍の診断で甲状腺右葉切除術の方針とした。術中に下甲状腺動静脈を同定し、その深部の傍気管脂肪織内で反回神経を探したが同定できなかった。輪状軟骨下縁で反回神経を同定し神経を追うと、迷走神経から直接分岐しており NRILN であることが分かった。術中に CT を再確認したところ右鎖骨下動脈の起始異常を認めた。甲状腺手術時には腫瘍やリンパ節の評価だけではなく、鎖骨下動脈の起始異常などの血管奇形がないかの確認もルーティンとすることが重要と思われた。
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi.70.2_95