在宅療養支援歯科診療所における在宅歯科医療の推進にかかわる要因

在宅または社会福祉施設等における療養を歯科医療面から支援するため,平成20 年に在宅療養支援歯科診療所が新設された。本研究では,全国における在宅療養支援歯科診療所の実態を把握することを目的とし,届け出を行っている日本歯科医師会会員へアンケート調査を実施した。その結果,3 カ月の調査期間中に,約 2 割が在宅歯科医療を実施していなかった。実施がない理由のほとんどは依頼がないことであった。実施診療所のうち,調査期間中の在宅歯科医療患者総数の中央値を超えるか否かに関連する因子は,非常勤歯科衛生士数,依頼元としての介護施設などであった。患者数が 100 名以上であるか否かでみると,さらに歯科医師数との...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in老年歯科医学 Vol. 26; no. 4; pp. 423 - 433
Main Authors 平田, 創一郎, 石井, 拓男, 平田, 幸夫, 山本, 龍生, 眞木, 吉信, 恒石, 美登里, 細野, 純
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年歯科医学会 31.03.2012
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0914-3866
1884-7323
DOI10.11259/jsg.26.423

Cover

Loading…
More Information
Summary:在宅または社会福祉施設等における療養を歯科医療面から支援するため,平成20 年に在宅療養支援歯科診療所が新設された。本研究では,全国における在宅療養支援歯科診療所の実態を把握することを目的とし,届け出を行っている日本歯科医師会会員へアンケート調査を実施した。その結果,3 カ月の調査期間中に,約 2 割が在宅歯科医療を実施していなかった。実施がない理由のほとんどは依頼がないことであった。実施診療所のうち,調査期間中の在宅歯科医療患者総数の中央値を超えるか否かに関連する因子は,非常勤歯科衛生士数,依頼元としての介護施設などであった。患者数が 100 名以上であるか否かでみると,さらに歯科医師数との関連が強かった。持参機器としてはポータブルレントゲン,連携機関としては病院数,介護施設数等が患者総数と関連していた。これらの結果から,在宅歯科医療を推進するために,まず在宅歯科医療を行う意思がある診療所と患者側との情報交換の必要性が示唆された。さらに在宅療養支援歯科診療所と,介護施設のみでなくケアマネジャー,病院,訪問看護ステーションとの情報共有が重要と考えられる。また,歯科診療所での歯科医師数の雇用の増加によって,在宅歯科医療が推進する可能性も示唆され,これらを踏まえた今後の歯科医療提供体制の構築が望まれる。
ISSN:0914-3866
1884-7323
DOI:10.11259/jsg.26.423