当院における大動脈弁位 Mitroflow の中期遠隔成績
患者の高齢化と抗凝固療法に伴う食事制限や出血リスク回避のため,大動脈弁置換術における生体弁の使用は,増加している.当科では通常使用している生体弁が挿入できない狭小弁輪に対し,Mitroflow弁を限定して使用してきたが,Mitroflow弁の耐久性について問題視する報告があり,当科でのMitroflow弁の遠隔成績を調査した.対象は2013年 12月から2022年8月までのMitroflow弁を使用した大動脈弁置換術 15例で,平均年齢は77.5±5.6才,全例女性で,平均体表面積は1.3±0.1m2,使用弁サイズはすべて19mmであった.1例を術後早期に縦隔炎で失ったが,他は軽快退院した.術...
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Published in | 島根県立中央病院医学雑誌 Vol. 47; no. 1; pp. 11 - 16 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
島根県立中央病院
10.03.2023
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Summary: | 患者の高齢化と抗凝固療法に伴う食事制限や出血リスク回避のため,大動脈弁置換術における生体弁の使用は,増加している.当科では通常使用している生体弁が挿入できない狭小弁輪に対し,Mitroflow弁を限定して使用してきたが,Mitroflow弁の耐久性について問題視する報告があり,当科でのMitroflow弁の遠隔成績を調査した.対象は2013年 12月から2022年8月までのMitroflow弁を使用した大動脈弁置換術 15例で,平均年齢は77.5±5.6才,全例女性で,平均体表面積は1.3±0.1m2,使用弁サイズはすべて19mmであった.1例を術後早期に縦隔炎で失ったが,他は軽快退院した.術後,観察期間 4.5±2.8年で,1例が術後 2.7年に人工弁機能不全(SVD)のため,再大動脈弁置換術を行った.もう1例は術後 5.6年で急速にMitroflow弁の狭窄(SVD)が進行した.遠隔期死亡は3例(術後 7.5年心不全,術後4年急性心筋梗塞,術後 3.8年老衰)で,Kaplan-Meier法による心臓関連死亡回避率は,1年,3年 100%,5年,7年 88%,全死亡回避率は,1年,3年93%,5年,7年 72%であった.再手術及びSVD回避率は1年 100%,3年,5年 90%,7年 77%であった.当科での19mmのMitroflow弁 15例中2例で早期SVDがあり,Mitroflow弁の適応及び術後経過観察について厳格化が必要と思われた. |
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ISSN: | 0289-5455 2435-0710 |
DOI: | 10.34345/spch.47.1_11 |