腎細胞癌膵転移術後5年で再切除を行った残膵転移再発の1例

症例は73歳の男性で,淡明細胞型腎細胞癌に対する左腎摘出術7年後に出現した膵頭部腫瘤に対して膵中央切除術を施行し,病理組織学的に膵淡明細胞型腎癌の膵転移と診断された.膵切除の5年後に残膵尾部に腫瘤を2つ指摘され,当科に紹介となった.腹部造影CTでは残膵尾部に11mm大と16mm大,境界明瞭で,造影早期で濃染し,後期相で遷延する腫瘤を認めた.超音波内視鏡検査所見では両病変とも境界明瞭な腫瘤として描出され,経過より腎癌膵転移の残膵再発と診断し,膵体尾部切除および脾摘出術を施行した.病理組織学的には2病変ともに淡明細胞型腎の転移として矛盾しなかった.術後1年4カ月現在,無再発生存中である.腎細胞癌膵...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 86; no. 1; pp. 97 - 103
Main Authors 林 茂樹, 野竹 剛, 瀬志本 真帆, 清水 明, 副島 雄二, 成澤 友里, 岩谷 舞, 窪田 晃治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2025
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.86.97

Cover

More Information
Summary:症例は73歳の男性で,淡明細胞型腎細胞癌に対する左腎摘出術7年後に出現した膵頭部腫瘤に対して膵中央切除術を施行し,病理組織学的に膵淡明細胞型腎癌の膵転移と診断された.膵切除の5年後に残膵尾部に腫瘤を2つ指摘され,当科に紹介となった.腹部造影CTでは残膵尾部に11mm大と16mm大,境界明瞭で,造影早期で濃染し,後期相で遷延する腫瘤を認めた.超音波内視鏡検査所見では両病変とも境界明瞭な腫瘤として描出され,経過より腎癌膵転移の残膵再発と診断し,膵体尾部切除および脾摘出術を施行した.病理組織学的には2病変ともに淡明細胞型腎の転移として矛盾しなかった.術後1年4カ月現在,無再発生存中である.腎細胞癌膵転移は他に転移のない膵単独転移が特徴的であるが,膵臓に転移を繰り返す症例の報告は少ない.腎細胞癌膵転移切除後の残膵再発に対して再切除を施行した症例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.86.97