骨格性Ⅲ級ボーダーライン症例における外科的矯正治療ま たは矯正治療単独かの治療法選択の基準について

著しい骨格性Ⅲ級不正咬合症例の治療には顎矯正手術を併用した外科的矯正治療が適用されるのが一般的である。しかし症例の中には外科的矯正治療、もしくは矯正歯科治療単独のどちらでも治療が可能な骨格性Ⅲ級ボーダーライン症例(以下、ボーダーライン症例)が存在する。しかし、現在治療選択において明確な基準は示されていない。そこでわれわれは、ボーダーライン症例において、外科的矯正治療群(以下、外科矯正群)と矯正歯科治療単独群(以下、矯正単独群)の初診時のセファロ分析項目を比較することで治療法選択の基準を明らかにすることを目的とした。研究対象は北海道医療大学歯科クリニック矯正科を受診した骨格性Ⅲ級症例 28 名(...

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Published in北海道矯正歯科学会雑誌 Vol. 49; no. 1; pp. 1 - 10
Main Authors 中尾, 友也, 石川, 麻衣, 飯嶋, 雅弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北海道矯正歯科学会 2021
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ISSN0916-202X
2432-6747
DOI10.20760/dokyo.49.1_1

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Summary:著しい骨格性Ⅲ級不正咬合症例の治療には顎矯正手術を併用した外科的矯正治療が適用されるのが一般的である。しかし症例の中には外科的矯正治療、もしくは矯正歯科治療単独のどちらでも治療が可能な骨格性Ⅲ級ボーダーライン症例(以下、ボーダーライン症例)が存在する。しかし、現在治療選択において明確な基準は示されていない。そこでわれわれは、ボーダーライン症例において、外科的矯正治療群(以下、外科矯正群)と矯正歯科治療単独群(以下、矯正単独群)の初診時のセファロ分析項目を比較することで治療法選択の基準を明らかにすることを目的とした。研究対象は北海道医療大学歯科クリニック矯正科を受診した骨格性Ⅲ級症例 28 名(平均年齢 24.0 歳±7.3)で、外科的矯正治療を行った 11 名と歯科矯正治療を行った 17 名とした。両群のANB角の範囲は矯正単独群で-4.1~1.0°、外科矯正群で-5.2~0.9°であった。各症例につき側面セファログラムによる骨格系、歯系、および軟組織の分析を行った後、両群の比較をマンホイットニーU検定により行った。外科矯正群が矯正単独群に比べ、ANB角、Wits appraisal、IMPA、およびoverjetは有意に小さな値を示した。以上のことから外科的矯正治療の適応か否かの判断には骨格系ではANB角、Wits appraisal、歯系ではIMPAとoverjetが重要項目である可能性が示唆された。
ISSN:0916-202X
2432-6747
DOI:10.20760/dokyo.49.1_1