高齢者に発生した口蓋多形腺腫由来癌の1例

われわれは高齢者の右側口蓋に発生した多形腺腫由来癌の1例を経験した。患者は70歳男性。既往歴はなく,約2年前に近在歯科で右側口蓋の腫脹を指摘されていたが,自覚症状がないため放置していたところ,約1カ月前より腫脹が増大するようになった。他の近在歯科を受診して精査加療目的で当科を紹介来院となった。画像検査では内部充実性の軟部腫瘤であり,核医学検査では集積を認めなかった。生検により多形腺腫の診断を得た後,全身麻酔下で同部の腫瘍切除術を行った。病理組織学的に多形腺腫由来癌の確定診断を得た。術後約5年経過するが再発は認めず良好である。腫瘍性病変を治療せずに長期間放置しておくことは悪性化の危険性が生じるこ...

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Published in老年歯科医学 Vol. 35; no. 3; pp. 226 - 229
Main Authors 松田, 玲於奈, 田村, 暢章, 菊池, 建太郎, 山本, 信治, 竹島, 浩, 園川, 拓哉, 小林, 真彦, 龍田, 恒康
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年歯科医学会 31.12.2020
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ISSN0914-3866
1884-7323
DOI10.11259/jsg.35.226

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Summary:われわれは高齢者の右側口蓋に発生した多形腺腫由来癌の1例を経験した。患者は70歳男性。既往歴はなく,約2年前に近在歯科で右側口蓋の腫脹を指摘されていたが,自覚症状がないため放置していたところ,約1カ月前より腫脹が増大するようになった。他の近在歯科を受診して精査加療目的で当科を紹介来院となった。画像検査では内部充実性の軟部腫瘤であり,核医学検査では集積を認めなかった。生検により多形腺腫の診断を得た後,全身麻酔下で同部の腫瘍切除術を行った。病理組織学的に多形腺腫由来癌の確定診断を得た。術後約5年経過するが再発は認めず良好である。腫瘍性病変を治療せずに長期間放置しておくことは悪性化の危険性が生じることを常に念頭に置き,高齢者の口腔管理に従事していかなければならないと考えられた。
ISSN:0914-3866
1884-7323
DOI:10.11259/jsg.35.226