加齢マウスにおける抗PD-L1抗体による経鼻粘膜免疫賦活化とヘルパーT細胞の関与
加齢に伴うT細胞機能低下は様々に報告されている。今回,加齢マウスにおける抗Programmed death-ligand 1(PD-L1)抗体投与に伴う上気道粘膜免疫賦活化とヘルパーT細胞動態の変化について解析を行った。各年齢マウス(6週齢,6ヵ月齢,12ヵ月齢,18ヵ月齢)に,10 μgの無莢膜インフルエンザ菌由来外膜蛋白(OMP)と1 μgのコレラトキシンを粘膜アジュバンドとして週1回計3回OMPを経鼻投与した。粘膜免疫の賦活化を目的として,高齢である12ヵ月齢マウス,18ヵ月齢マウスにおいては経鼻投与に抗PD-L1抗体投与を併用した。経鼻免疫後7日目に,鼻腔洗浄液および血清を採取し,OM...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌 Vol. 3; no. 4; pp. 139 - 148 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会
2023
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Subjects | |
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Summary: | 加齢に伴うT細胞機能低下は様々に報告されている。今回,加齢マウスにおける抗Programmed death-ligand 1(PD-L1)抗体投与に伴う上気道粘膜免疫賦活化とヘルパーT細胞動態の変化について解析を行った。各年齢マウス(6週齢,6ヵ月齢,12ヵ月齢,18ヵ月齢)に,10 μgの無莢膜インフルエンザ菌由来外膜蛋白(OMP)と1 μgのコレラトキシンを粘膜アジュバンドとして週1回計3回OMPを経鼻投与した。粘膜免疫の賦活化を目的として,高齢である12ヵ月齢マウス,18ヵ月齢マウスにおいては経鼻投与に抗PD-L1抗体投与を併用した。経鼻免疫後7日目に,鼻腔洗浄液および血清を採取し,OMP特異的抗体価を測定した。鼻粘膜,鼻粘膜関連リンパ組織(NALT),頸部リンパ節,脾臓を採取し,単核球を分離したのちに,各種蛍光標識した抗CD3a,抗CD4抗体,抗CD8抗体,抗CD69抗体,抗CD279(PD-1)抗体,濾胞性ヘルパーT細胞のマーカーである抗CD185抗体を用いて単核球を染色し,フローサイトメトリーによるT細胞解析を行った。経年的にOMP特異的抗体価の低下を認めたものの,12ヵ月齢マウスでは抗PD-L1抗体投与に伴い抗体価の増加を認めた。しかし,18ヵ月齢マウスでは抗体価の増加を認めなかった。抗PD-L1抗体投与に伴い,12ヵ月齢マウスおよび18ヵ月齢マウスともにPD-1陽性CD4陽性T細胞比の増加を認めたが,12ヵ月齢マウスのみOMP特異的抗体価の上昇とCD4陽性T細胞にCD69の発現増強を認めリンパ球の活性化が示された。また,濾胞ヘルパーT細胞は12ヵ月齢マウスのみ局所リンパ組織において増加傾向を認めた。抗PD-L1抗体による粘膜免疫賦活化は,加齢の程度により効果に差を認める可能性がある。 |
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ISSN: | 2435-7952 |
DOI: | 10.24805/jiaio.3.4_139 |