当院における心房細動に対する メイズ及び肺静脈隔離術の遠隔成績

心房細動(AF)に対する外科手術であるメイズ手術や肺静脈隔離術(PVI)後のリズム維 持の有効性は明らかで,それに加え生存率の改善や脳梗塞発症予防効果も示されている.今回,当 院でのメイズ,PVI術後の遠隔成績について検討した。対象は1999年から2019年の6月までの77例 で,慢性AF 54例,発作性心房細動23例,平均年齢は70才,62%(48例)が男性であった.術式は, 両心房メイズ50例,PVI 19例,左房メイズ7例,右房メイズ1例.病院死亡3例,遠隔死亡18例 で,Kaplan-Meier法による全例の生存率は,1年96%,5年88%,10年71%,15年56%で70才の平 均余...

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Published in島根県立中央病院医学雑誌 Vol. 45; pp. 19 - 26
Main Authors 山内, 正信, 金築, 一摩, 花田, 智樹, 上平, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 島根県立中央病院 2021
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ISSN0289-5455
2435-0710
DOI10.34345/spch.45.0_19

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Summary:心房細動(AF)に対する外科手術であるメイズ手術や肺静脈隔離術(PVI)後のリズム維 持の有効性は明らかで,それに加え生存率の改善や脳梗塞発症予防効果も示されている.今回,当 院でのメイズ,PVI術後の遠隔成績について検討した。対象は1999年から2019年の6月までの77例 で,慢性AF 54例,発作性心房細動23例,平均年齢は70才,62%(48例)が男性であった.術式は, 両心房メイズ50例,PVI 19例,左房メイズ7例,右房メイズ1例.病院死亡3例,遠隔死亡18例 で,Kaplan-Meier法による全例の生存率は,1年96%,5年88%,10年71%,15年56%で70才の平 均余命と同程度であった.退院時のAF回避率は85%で,平均観察期間5.9年でのAF回避率は,63% であった.Kaplan-Meier法でのAF回避率は,1年97%,5年82%,10年57%,15年37%と経時的に 低くなった.当院の成績を諸家の報告と比較すると5年では同程度,10年ではやや劣っていた.遠 隔期サイナスリズム(SR)の47例とAFの28例を比較した.単変量解析では,術後左房(LA)径,退 院時SR,遠隔死亡に有意差を認めた.多変量解析では,遠隔期SRの因子は,メイズ手術,術後LA径, 退院時SRであった.ROCカーブでは,術後LA径47.5mmが遠隔期SR維持のカットオフ値で,術後 LA径47.5mm未満の77%がSRであったが,47.5mm以上では44%であった.術後73%の症例に抗凝 固療法が継続され,脳梗塞は4例5.5%に発症し,全て抗凝固療法中であった.抗凝固療法中止の 20例中18例には左心耳閉鎖術が併施され,脳梗塞発症はなかった.術後4例にカテーテルアブレー ションが行なわれ,全例洞調律に回復し,有効であった.
ISSN:0289-5455
2435-0710
DOI:10.34345/spch.45.0_19