性同一性障害/性別違和 当事者との対話

「I. はじめに」本稿は, 2016年10月29日岡山コンベンションセンターで行われた第57回日本児童青年精神医学会総会の教育セッション(5)「『性同一性障害/性別違和』当事者との対話」での対談を整理したものである. 性同一性障害/性別違和をもつ当事者の苦痛は, 主に生物学的あるいは法律上で指定されたジェンダーと内的に経験しているジェンダーとが食い違うことに起因している. 一般的な精神機能が障害されることはないが, この苦痛は二次的に生活の質を障害し様々な問題を引き起こす. 特に二次性徴の始まる思春期には身体への違和感が強まり, この時期に進学する中学での性別規範の厳密化(男女別制服着用など)...

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Published in児童青年精神医学とその近接領域 Vol. 58; no. 4; pp. 459 - 467
Main Authors 月美さん, 松本, 洋輔, 陽一さん
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本児童青年精神医学会 01.08.2017
日本児童青年精神医学会
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ISSN0289-0968
2424-1652
DOI10.20615/jscap.58.4_459

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Summary:「I. はじめに」本稿は, 2016年10月29日岡山コンベンションセンターで行われた第57回日本児童青年精神医学会総会の教育セッション(5)「『性同一性障害/性別違和』当事者との対話」での対談を整理したものである. 性同一性障害/性別違和をもつ当事者の苦痛は, 主に生物学的あるいは法律上で指定されたジェンダーと内的に経験しているジェンダーとが食い違うことに起因している. 一般的な精神機能が障害されることはないが, この苦痛は二次的に生活の質を障害し様々な問題を引き起こす. 特に二次性徴の始まる思春期には身体への違和感が強まり, この時期に進学する中学での性別規範の厳密化(男女別制服着用など)が追い打ちをかける傾向が見られる. 思春期には性愛感情も発達するため, 指定されたジェンダーと性指向の関係が他と異なる(表面上は同性愛と同じになる)ことで苦悩が深まることもしばしばある.
ISSN:0289-0968
2424-1652
DOI:10.20615/jscap.58.4_459