書道熟達者の運動学習─再帰定量化解析による縦断的評価を手掛かりに
本稿ではケーススタディとして,書道熟達者 1 名が 16 回の試行を経て臨書を制作する過程を,書家の運動協調の縦断的変化に焦点を当てて分析した.書家の頭部の水平面の旋回周期を再帰定量化解析(Recurrence Quantitative Analysis)により評価した結果,特定の試行数と,特定の紙面位置において,旋回周期は高い再帰性を示していた.このことは,書家の身体システムが,試行を通じて平均的に底上げされるかたちで発達するのではなく,特定の描画シーンにおいて,異なる協調関係を実現している可能性を示唆している....
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Published in | 生態心理学研究 Vol. 9; no. 1; pp. 26 - 30 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本生態心理学会
01.09.2016
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1349-0443 2434-012X |
DOI | 10.24807/jep.9.1_26 |
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Summary: | 本稿ではケーススタディとして,書道熟達者 1 名が 16 回の試行を経て臨書を制作する過程を,書家の運動協調の縦断的変化に焦点を当てて分析した.書家の頭部の水平面の旋回周期を再帰定量化解析(Recurrence Quantitative Analysis)により評価した結果,特定の試行数と,特定の紙面位置において,旋回周期は高い再帰性を示していた.このことは,書家の身体システムが,試行を通じて平均的に底上げされるかたちで発達するのではなく,特定の描画シーンにおいて,異なる協調関係を実現している可能性を示唆している. |
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ISSN: | 1349-0443 2434-012X |
DOI: | 10.24807/jep.9.1_26 |