2008年のノーベル医学生理学賞 フランスのエイズウイルス発見者へ

「ノーベル生理学医学賞」スウェーデンのノーベル委員会は最近, エイズウイルス(HIV)を発見した業績に対してフランスのパスツール研究所のルック・モンタニエ氏とフランソワーズ・バレ・シノゼ氏(および子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)を発見したドイツがん研究センターのハラルド・ツア・ハウゼン氏)に2008年のノーベル医学生理学賞を授与すると発表した. 人間に広く蔓延している病気の原因ウイルスの発見の業績に対して授与されたものだ. ここでは, HIVの発見の歴史を振り返りつつ, 両氏の業績を簡単に述べる. 「ノーベル委員会」男性同性愛者の間で原因不明の免疫不全の病気が米国で流行し...

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Published in国際保健医療 Vol. 24; no. 1; pp. 43 - 45
Main Author 玉城, 英彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本国際保健医療学会 27.03.2009
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Summary:「ノーベル生理学医学賞」スウェーデンのノーベル委員会は最近, エイズウイルス(HIV)を発見した業績に対してフランスのパスツール研究所のルック・モンタニエ氏とフランソワーズ・バレ・シノゼ氏(および子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)を発見したドイツがん研究センターのハラルド・ツア・ハウゼン氏)に2008年のノーベル医学生理学賞を授与すると発表した. 人間に広く蔓延している病気の原因ウイルスの発見の業績に対して授与されたものだ. ここでは, HIVの発見の歴史を振り返りつつ, 両氏の業績を簡単に述べる. 「ノーベル委員会」男性同性愛者の間で原因不明の免疫不全の病気が米国で流行していると初めて報告されたのは1981年6月であった. この疫学的な発見は今でも本疾患の歴史に消えない傷を残しているが, 最初の患者の報告から原因ウイルスの発見, 分離, 同定, 予防・治療法の開発まで, 非常に短期間に成功した例外的な科学史をここに見ることができる.
ISSN:0917-6543
DOI:10.11197/jaih.24.43