自分を傷つけずにはいられない その理解と対応のヒント

「I. はじめに」リストカットなどの非致死的な自傷は, いまや学校保健における主要な課題の一つとなっている. 筆者らの調査(Matsumoto and Imamura, 2008)によれば, 中学生・高校生の約1割(男子7.5%, 女子12.1%)に, 刃物で故意に自らの身体を切った経験があることが明らかにされている. これほど広く見られる現象でありながら, 周囲にいる大人の多くは子どもの自傷行為に気づいていない. 平成18年度に学校保健会が実施した, 『保健室利用状況に関する調査』(日本学校保健会, 2008)では, 学校側が把握している自傷をする生徒の割合はわずかに0.33~0.37%と報...

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Published in児童青年精神医学とその近接領域 Vol. 57; no. 3; pp. 409 - 414
Main Author 松本, 俊彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本児童青年精神医学会 01.06.2016
日本児童青年精神医学会
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ISSN0289-0968
2424-1652
DOI10.20615/jscap.57.3_409

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Summary:「I. はじめに」リストカットなどの非致死的な自傷は, いまや学校保健における主要な課題の一つとなっている. 筆者らの調査(Matsumoto and Imamura, 2008)によれば, 中学生・高校生の約1割(男子7.5%, 女子12.1%)に, 刃物で故意に自らの身体を切った経験があることが明らかにされている. これほど広く見られる現象でありながら, 周囲にいる大人の多くは子どもの自傷行為に気づいていない. 平成18年度に学校保健会が実施した, 『保健室利用状況に関する調査』(日本学校保健会, 2008)では, 学校側が把握している自傷をする生徒の割合はわずかに0.33~0.37%と報告されている. この結果は, 大人が気づいている自傷は, 現実に存在するものうちの約30分の1でしかないことを示している. いずれにしても, 中学生・高校生の10人に1人が自傷経験者であるという事実は, 重要である.
ISSN:0289-0968
2424-1652
DOI:10.20615/jscap.57.3_409