内田式視標付無散瞳眼底カメラによる固視の検討-正常者について
正常者の固視点を画像診断的に分析するために、内田式視標付無散瞳眼底カメラを用いて固視点を撮影した。また、固視点と視機能特性を検討した。 対象は正常者120名240眼である。正常者の選択基準は、視力1.0以上、両眼視機能60arc sec.以上を有し斜視のないものとした。固視点の観察は、内田式視標付無散瞳眼底カメラ(ウチダ&トプコン)で撮影した。視標は、固視部分視角1°、全体の内径10.62°の同心円視標と無交叉視標を使用した。固視のずれは、固視視標と中心窩反射の位置で判定した。ずれの計測法は、ずれが認められた画像をCRT画面上に入力して固視視標の中心から中心窩反射の中心までの距離を測定...
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Published in | 日本視能訓練士協会誌 Vol. 27; pp. 255 - 262 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本視能訓練士協会
25.07.1999
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ISSN | 0387-5172 1883-9215 |
DOI | 10.4263/jorthoptic.27.255 |
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Summary: | 正常者の固視点を画像診断的に分析するために、内田式視標付無散瞳眼底カメラを用いて固視点を撮影した。また、固視点と視機能特性を検討した。 対象は正常者120名240眼である。正常者の選択基準は、視力1.0以上、両眼視機能60arc sec.以上を有し斜視のないものとした。固視点の観察は、内田式視標付無散瞳眼底カメラ(ウチダ&トプコン)で撮影した。視標は、固視部分視角1°、全体の内径10.62°の同心円視標と無交叉視標を使用した。固視のずれは、固視視標と中心窩反射の位置で判定した。ずれの計測法は、ずれが認められた画像をCRT画面上に入力して固視視標の中心から中心窩反射の中心までの距離を測定し、視角で算出した。その結果、固視点は中心固視が209眼(87%)、固視のずれが31眼(13%)であった。固視のずれの方向と平均距離(視角)は、鼻側方向が29眼0.6°、耳側方向が2眼0.7°、上側方向が24眼0.5°、下側方向が3眼0.5°であり、上鼻側方向の合併が31眼中23眼に認められた。また、視角1°以内のずれは31眼中29眼であった。固視のずれが認められた眼の視機能には特性は認められなかった。正常視力にもかかわらず固視のずれが認められた原因として、解剖学的に網膜中心窩の斜台の傾斜が不均等なために、中心窩反射と解剖学的中心窩が一致しないこと、また網膜の発達過程において錐体細胞密度に偏りが生じたことが推察された。 |
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ISSN: | 0387-5172 1883-9215 |
DOI: | 10.4263/jorthoptic.27.255 |