両眼視機能強化訓練を行った成人男性の一例

23歳の男性で,視力や眼位に問題がなく,近見立体視検査も良好であるが,深径覚計の三桿法ができず,大型弱視鏡での立体視が(-)であった症例に対し,立体視の向上を目的に両眼視機能訓練をおこなった。 訓練内容は,実体鏡での家庭訓練とプリズムでの融像性輻湊訓練である。 訓練の結果,実体鏡での融像はできるが,立体視図形の複数の視差を完全に区別することはできなかった。またプリズムでの融像幅は,はじめ18Δであったが訓練後60Δまで広がった。それにともない大型弱視鏡での立体視も(+)となった。しかし三桿法はバラつきがみられ,良好な成績は得られなかった。 当初の目的は達成されたが,三桿法にバラつきがみられたこ...

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Published in日本視能訓練士協会誌 Vol. 23; pp. 148 - 152
Main Authors 丹治, 弘子, 河野, 美穂, 坂本, 章子, 橋本, 禎子, 八子, 恵子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本視能訓練士協会 31.08.1995
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Summary:23歳の男性で,視力や眼位に問題がなく,近見立体視検査も良好であるが,深径覚計の三桿法ができず,大型弱視鏡での立体視が(-)であった症例に対し,立体視の向上を目的に両眼視機能訓練をおこなった。 訓練内容は,実体鏡での家庭訓練とプリズムでの融像性輻湊訓練である。 訓練の結果,実体鏡での融像はできるが,立体視図形の複数の視差を完全に区別することはできなかった。またプリズムでの融像幅は,はじめ18Δであったが訓練後60Δまで広がった。それにともない大型弱視鏡での立体視も(+)となった。しかし三桿法はバラつきがみられ,良好な成績は得られなかった。 当初の目的は達成されたが,三桿法にバラつきがみられたことについては,運動性融像との関連が推測された。
ISSN:0387-5172
1883-9215
DOI:10.4263/jorthoptic.23.148