当院で経験した川崎病症例の検討

2005 年8 月1 日から2006 年11 月10 日までの間に、当院で入院治療を行った川崎病小児例10例を検討した。 初回γグロブリン(以下、IVIG)大量療法不応率は50% であった。不応例に対しては、1g/kg または2g/kg のIVIG 追加投与にて全例解熱が得られた。冠動脈瘤を残した症例はなかった。不応率の高さの原因としては、年齢層がやや年長に偏っていたことや10 例という少数のための特性の偏りによるものが一因と考えられた。 初回IVIG 不応例と反応例の比較を行ったが、不応例では、反応例に比べ、有意に当院の初診が早く、診断時の好中球分画の比率が高く、Na が低値であった。また、...

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Published in松江市立病院医学雑誌 Vol. 12; no. 1; pp. 11 - 14
Main Authors 田中, 雄二, 齊藤, 景子, 岡本, 学, 小西, 恭子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 松江市立病院 2008
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ISSN1343-0866
2434-8368
DOI10.32294/mch.12.1_11

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Summary:2005 年8 月1 日から2006 年11 月10 日までの間に、当院で入院治療を行った川崎病小児例10例を検討した。 初回γグロブリン(以下、IVIG)大量療法不応率は50% であった。不応例に対しては、1g/kg または2g/kg のIVIG 追加投与にて全例解熱が得られた。冠動脈瘤を残した症例はなかった。不応率の高さの原因としては、年齢層がやや年長に偏っていたことや10 例という少数のための特性の偏りによるものが一因と考えられた。 初回IVIG 不応例と反応例の比較を行ったが、不応例では、反応例に比べ、有意に当院の初診が早く、診断時の好中球分画の比率が高く、Na が低値であった。また、全経過中の最大血小板数は不応例で有意に高く、Hb 低値、Alb 低値の傾向もみられた。 報告されている中から4 つの不応例を予測するリスクスコアを当院の症例に用いて検討した。陽性的中率は50 ~ 67%と高くはなかったが、佐藤のリスクスコアでは陰性的中率が100% と高く、IVIG 反応良好例を抽出するには有用である可能性が考えられた。
ISSN:1343-0866
2434-8368
DOI:10.32294/mch.12.1_11