味覚性耳下腺痛

味覚性耳下腺痛を呈した42歳女性例を報告した.片側Horner症候群,harlequin症候群の存在から片側の頸部交感神経障害が推定された.繰り返す味覚刺激毎に,刺激直後から交感神経障害側の耳下腺に疼痛が生じ,数分で自然寛解した.また,同時に味覚性発汗を認めた.味覚性耳下腺痛は頸部交感神経節後線維障害による耳下腺の交感神経,副交感神経受容体の脱神経性過敏が原因と考えた.本現象は味覚刺激による反射性唾液分泌の亢進と筋上皮細胞の強収縮の結果,導管内圧が高まり疼痛を誘発していると推定した.MRIで脳,頸部,胸部には異常はなく,交感神経障害の原因は不明であった.味覚性耳下腺痛は耳鼻科領域でHaubri...

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Published in自律神経 Vol. 57; no. 1; pp. 94 - 99
Main Authors 中里, 良彦, 二宮, 充喜子, 山元, 敏正, 田村, 直俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本自律神経学会 2020
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ISSN0288-9250
2434-7035
DOI10.32272/ans.57.1_094

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Summary:味覚性耳下腺痛を呈した42歳女性例を報告した.片側Horner症候群,harlequin症候群の存在から片側の頸部交感神経障害が推定された.繰り返す味覚刺激毎に,刺激直後から交感神経障害側の耳下腺に疼痛が生じ,数分で自然寛解した.また,同時に味覚性発汗を認めた.味覚性耳下腺痛は頸部交感神経節後線維障害による耳下腺の交感神経,副交感神経受容体の脱神経性過敏が原因と考えた.本現象は味覚刺激による反射性唾液分泌の亢進と筋上皮細胞の強収縮の結果,導管内圧が高まり疼痛を誘発していると推定した.MRIで脳,頸部,胸部には異常はなく,交感神経障害の原因は不明であった.味覚性耳下腺痛は耳鼻科領域でHaubrichら(1986年)を誤用してfirst bite syndromeとして報告されているが,Gardnerら(1955年)の最初の原著に従い味覚性耳下腺痛とするべきである.
ISSN:0288-9250
2434-7035
DOI:10.32272/ans.57.1_094