ガス産生喉頭蓋膿瘍例

喉頭蓋膿瘍は急性喉頭蓋炎の20~30%に続発するといわれており,気道閉塞による窒息の可能性や,膿瘍の周囲波及による重篤化の可能性を念頭に置いて治療計画を立てる必要がある。今回われわれは,非常に稀なガス産生を伴う喉頭蓋膿瘍例の治療を経験したので,若干の考察を加えて報告する。症例は未治療の糖尿病を基礎疾患に持つ50代男性である。3日間で急速に増悪した咽頭痛と経口摂取困難を主訴に耳鼻咽喉科クリニックを受診したところ,喉頭蓋腫脹を指摘されて当科を紹介された。当科初診時から喉頭蓋膿瘍を疑う喉頭内視鏡所見であったが,呼吸困難の自覚がなく声門が十分に視認できたため抗菌薬投与による保存治療を開始した。しかし治...

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Published in日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌 Vol. 2; no. 2; pp. 55 - 58
Main Authors 朝倉, 光司, 高野, 賢一, 渡邉, 一正, 高橋, 国広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会 2022
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ISSN2435-7952
DOI10.24805/jiaio.2.2_55

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Summary:喉頭蓋膿瘍は急性喉頭蓋炎の20~30%に続発するといわれており,気道閉塞による窒息の可能性や,膿瘍の周囲波及による重篤化の可能性を念頭に置いて治療計画を立てる必要がある。今回われわれは,非常に稀なガス産生を伴う喉頭蓋膿瘍例の治療を経験したので,若干の考察を加えて報告する。症例は未治療の糖尿病を基礎疾患に持つ50代男性である。3日間で急速に増悪した咽頭痛と経口摂取困難を主訴に耳鼻咽喉科クリニックを受診したところ,喉頭蓋腫脹を指摘されて当科を紹介された。当科初診時から喉頭蓋膿瘍を疑う喉頭内視鏡所見であったが,呼吸困難の自覚がなく声門が十分に視認できたため抗菌薬投与による保存治療を開始した。しかし治療にもかかわらず,入院翌日に新たに披裂の腫脹が出現したため外科治療の適応と判断し造影CT検査を施行したところ,ガス産生を伴う喉頭蓋膿瘍と判断された。緊急で気管切開術と喉頭蓋膿瘍切開術を併施し,良好な結果を得た。喉頭蓋膿瘍に対し外科治療を施行するにあたっての明確な基準は無いが,患者の病状だけでなく医療機関の設備や人員などさまざまな要因を交えて検討する必要がある。
ISSN:2435-7952
DOI:10.24805/jiaio.2.2_55