上顎歯肉進行癌に対して超選択的動注化学放射線療法を施行した1例 浅側頭動脈からカテーテル2本同時留置法

口腔癌に対する浅側頭動脈経由の動注化学放射線療法では腫瘍周囲に高濃度の抗癌剤を注入できることから,その優れた抗腫瘍効果が注目されている。われわれは進行した上顎歯肉癌に対して浅側頭動脈経由で顎動脈および顔面動脈にカテーテルを2本同時留置し,超選択的動注化学放射線療法を行い良好な治療成績を得た症例を経験したので報告する。症例は60歳男性,左側上顎歯肉癌(T3N0M0)。治療スケジュールはDOC(総投与量75mg/m2,15mg/m2/week),CDDP(総投与量125mg/m2,5mg/m2/day)を5クール,放射線治療は50Gy/5weekを施行した。治療効果がみられ腫瘍は消失したため切除手...

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Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 25; no. 3; pp. 129 - 138
Main Authors 安井, 昭夫, 北島, 正一朗, 丸尾, 尚伸, 福山, 隆一, 角田, 定信, 市原, 左知子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会 15.09.2013
日本口腔腫瘍学会
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Summary:口腔癌に対する浅側頭動脈経由の動注化学放射線療法では腫瘍周囲に高濃度の抗癌剤を注入できることから,その優れた抗腫瘍効果が注目されている。われわれは進行した上顎歯肉癌に対して浅側頭動脈経由で顎動脈および顔面動脈にカテーテルを2本同時留置し,超選択的動注化学放射線療法を行い良好な治療成績を得た症例を経験したので報告する。症例は60歳男性,左側上顎歯肉癌(T3N0M0)。治療スケジュールはDOC(総投与量75mg/m2,15mg/m2/week),CDDP(総投与量125mg/m2,5mg/m2/day)を5クール,放射線治療は50Gy/5weekを施行した。治療効果がみられ腫瘍は消失したため切除手術は行わず,4年経過したが腫瘍再発は認められていない。上顎歯肉進行癌に対して高い抗腫瘍効果が得られ,有用な治療法であると考えられた。
ISSN:0915-5988
1884-4995
DOI:10.5843/jsot.25.129