障害者における補綴物装着者率の加齢変化に対する検討 平成28年歯科疾患実態調査との比較

障害者は,健常者と比較し歯を早期に喪失する.本研究では,障害者の年齢階級別補綴物装着者率を調査し,同年齢階級の健常者と比較することで,要補綴治療となる年齢に関する障害者と健常者の違いを明らかにすることを目的とした.対象は,本院患者で15歳以上の548名で,性別,年齢,障害の種類,補綴物の有無や種類を調査した.補綴物の種類は,ブリッジ,部分床義歯,および全部床義歯を重複可能として集計した.年齢階級は,15歳以上を5歳ごとに1つの年齢階級とした.比較対象として,平成28年歯科疾患実態調査を用いて,年齢階級別補綴物装着者率に対する検討を行った.対象患者は男性343名,女性205名で,平均年齢は39....

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Published in日本障害者歯科学会雑誌 Vol. 43; no. 1; pp. 26 - 33
Main Authors 若林, 侑加, 尾田, 友紀, 宮原, 康太, 古谷, 千昌, 吉田, 結梨子, 宮崎, 裕則, 岡田, 芳幸, 安田, 陽香
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本障害者歯科学会 28.02.2022
日本障害者歯科学会
Subjects
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ISSN0913-1663
2188-9708
DOI10.14958/jjsdh.43.26

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Summary:障害者は,健常者と比較し歯を早期に喪失する.本研究では,障害者の年齢階級別補綴物装着者率を調査し,同年齢階級の健常者と比較することで,要補綴治療となる年齢に関する障害者と健常者の違いを明らかにすることを目的とした.対象は,本院患者で15歳以上の548名で,性別,年齢,障害の種類,補綴物の有無や種類を調査した.補綴物の種類は,ブリッジ,部分床義歯,および全部床義歯を重複可能として集計した.年齢階級は,15歳以上を5歳ごとに1つの年齢階級とした.比較対象として,平成28年歯科疾患実態調査を用いて,年齢階級別補綴物装着者率に対する検討を行った.対象患者は男性343名,女性205名で,平均年齢は39.4歳であった.補綴治療が必要な者は203名で,そのうち補綴治療が未実施の者は26名であった.ブリッジ装着者率は,25歳以上30歳未満を除く20歳以上50歳未満のすべての年齢階級で障害者のほうが有意に高かった.部分床義歯装着者率は,50歳以上55歳未満を除く35歳以上60歳未満のすべての年齢階級で,障害者のほうが有意に高かった.以上より障害者の補綴物装着者率は,若い年齢階級から高いことが明らかになった.また,障害者は,健常者と比較して,ブリッジ装着後早期に部分床義歯になると考えられた.このことから,障害者においては,特にブリッジ装着後は補助清掃器具使用などの口腔衛生管理が重要であると考えられた.
ISSN:0913-1663
2188-9708
DOI:10.14958/jjsdh.43.26