膀胱三角部にかかるS状結腸膀胱瘻を合併した結腸憩室炎の1例

症例は68歳男性.2009年10月に腹痛と気尿,発熱を自覚し,当院を受診した.来院時細菌尿を認め,腹部CTではS状結腸の多発する憩室と壁肥厚,膀胱背側の膿瘍を認めた.MRIではS状結腸から膿瘍へと伸びる瘻孔と膀胱三角部の壁肥厚を認めた.膀胱鏡では膀胱三角部の著明な浮腫と肉芽を認めた.以上よりS状結腸憩室炎による結腸膀胱瘻,骨盤内膿瘍と診断した.膿瘍が膀胱三角部に密に接し,尿路変向を回避できない可能性があるため,膿瘍の縮小と瘻孔の閉鎖を期待して,まず回腸人工肛門造設術を行った.膿瘍の縮小を確認した約10ヵ月後にS状結腸部分切除術,回腸人工肛門閉鎖術を行った.瘻孔は閉鎖しており,膀胱部分切除は回避...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 66; no. 4; pp. 258 - 262
Main Authors 松村, 勝, 舟山, 裕士, 高橋, 賢一, 西條, 文人, 生澤, 史江
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2013
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.66.258

Cover

More Information
Summary:症例は68歳男性.2009年10月に腹痛と気尿,発熱を自覚し,当院を受診した.来院時細菌尿を認め,腹部CTではS状結腸の多発する憩室と壁肥厚,膀胱背側の膿瘍を認めた.MRIではS状結腸から膿瘍へと伸びる瘻孔と膀胱三角部の壁肥厚を認めた.膀胱鏡では膀胱三角部の著明な浮腫と肉芽を認めた.以上よりS状結腸憩室炎による結腸膀胱瘻,骨盤内膿瘍と診断した.膿瘍が膀胱三角部に密に接し,尿路変向を回避できない可能性があるため,膿瘍の縮小と瘻孔の閉鎖を期待して,まず回腸人工肛門造設術を行った.膿瘍の縮小を確認した約10ヵ月後にS状結腸部分切除術,回腸人工肛門閉鎖術を行った.瘻孔は閉鎖しており,膀胱部分切除は回避できた.膀胱三角部にかかる瘻孔を有する結腸憩室炎はまれであるが,2期分割手術により膀胱部分切除と尿路変向を回避しうると考えられた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.66.258