内科的治療が奏効した急性白血病患者の鼻脳型ムーコル症

21歳, 男性の急性リンパ性白血病患者の治療中に, 右副鼻腔炎 (前頭洞, 節骨洞, 上顎洞の罹患) がみられ, 下鼻甲介の生検によって鼻脳型ムーコル症と診断された. アムホテリシンB治療が行われたが, 抗白血病療法の奏効と遺伝子組換えヒト型穎粒球コロニー形成刺激因子の投与による好中球数の速やかな増加に一致して, 臨床症状, 鼻腔所見, 副鼻腔のX線写真やCTスキャンの所見が著明に改善した. 原疾患の寛解が抗真菌薬治療の効果発現に重要なように思われた. 本例は, 急性白血病に合併した鼻脳型ムーコル症の内科的治療に成功した第1例目と考えられる....

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Published in感染症学雑誌 Vol. 65; no. 5; pp. 604 - 607
Main Authors 大竹, 茂樹, 松田, 保, 望月, 康弘, 舟田, 久, 真智, 俊彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 1991
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.65.604

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Summary:21歳, 男性の急性リンパ性白血病患者の治療中に, 右副鼻腔炎 (前頭洞, 節骨洞, 上顎洞の罹患) がみられ, 下鼻甲介の生検によって鼻脳型ムーコル症と診断された. アムホテリシンB治療が行われたが, 抗白血病療法の奏効と遺伝子組換えヒト型穎粒球コロニー形成刺激因子の投与による好中球数の速やかな増加に一致して, 臨床症状, 鼻腔所見, 副鼻腔のX線写真やCTスキャンの所見が著明に改善した. 原疾患の寛解が抗真菌薬治療の効果発現に重要なように思われた. 本例は, 急性白血病に合併した鼻脳型ムーコル症の内科的治療に成功した第1例目と考えられる.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.65.604