Campylobacter属菌およびHelicobacter属の菌種鑑別性状としてのフマル酸分解性

• Published in: 感染症学雑誌 Vol. 69; no. 6; pp. 666 - 672
• Main Authors: 新垣, 正夫, 伊藤, 武
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人 日本感染症学会 1995
• ISSN: 0387-5911; 1884-569X
• DOI: 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.69.666

Campylobacter属菌およびHelicobacter属の菌株の菌種鑑別性状として, 低分子有機酸であるフマル酸の分解能を高速液体クロマトグラフィーを用いて検討した.Campylobacter属は7菌種の44株, Helicobacter属は4菌種の21株, 合計65株について行った結果, フマル酸分解能を有した菌株は, C. jejuni, C. coli C. jejuni subsp. doylei C. fetus, C. hyointestinalis, C. lari,“C. lari variant”, C. upsaliensis H. fennelliaeおよびH. pyloriの全菌株であった.これに対してフマル酸分解能を示さなかった菌株は, C. sputorum (全生物型), H. cinaediそしてH. mustelaeの全菌株であった. フマル酸分解能を示した全ての菌株の反応液から, 低分子有機酸のL-リンゴ酸が検出されたことから, フマル酸の分解生成物はL-リンゴ酸であると推定された.以上の成績から高速液体クロマトグラフィーを用いたフマル酸分解性試験は, その方法や判定の簡便さから菌体脂肪酸の測定や他の試験法と共に, Campylobacter属やHelicobacter属の同定に有用な試験法であることを明らかにした.