鍼治療が有効であった気管支喘息を合併した肺気腫の一症例

呼吸困難のため日常生活が困難となっていた, 気管支喘息を合併した肺気腫の―症例に対して鍼治療を行い良好な結果が得られた。症例は69歳, 男性で喘息発作と労作時呼吸困難を主訴に1998年7月に岐阜大学医学部附属病院呼吸器内科を受診した。その後も接薬物療法と在宅酸素療法を受けていたが, 症状は徐々に増悪したため, ●●●に主治医の勧めで鍼治療の併用が開始された。 鍼治療開始時の患者の状態は, GOLDの病期分類ではIII (重症) を示した。また, 呼吸機能検査では, %VC: 90.7%, FEV1%: 35.1%, %FEV1: 38.2%, V25: 0.20L/Sと閉塞性換気障害を認めた。...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本東洋医学雑誌 Vol. 56; no. 4; pp. 567 - 575
Main Authors 鈴木, 雅雄, 大野, 康, 赤尾, 清剛, 江川, 雅人, 浅井, 稔博, 矢野, 忠, 藤原, 久義
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 一般社団法人 日本東洋医学会 20.07.2005
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:呼吸困難のため日常生活が困難となっていた, 気管支喘息を合併した肺気腫の―症例に対して鍼治療を行い良好な結果が得られた。症例は69歳, 男性で喘息発作と労作時呼吸困難を主訴に1998年7月に岐阜大学医学部附属病院呼吸器内科を受診した。その後も接薬物療法と在宅酸素療法を受けていたが, 症状は徐々に増悪したため, ●●●に主治医の勧めで鍼治療の併用が開始された。 鍼治療開始時の患者の状態は, GOLDの病期分類ではIII (重症) を示した。また, 呼吸機能検査では, %VC: 90.7%, FEV1%: 35.1%, %FEV1: 38.2%, V25: 0.20L/Sと閉塞性換気障害を認めた。鍼治療に使用した経穴は, 中府穴 (LU1), 尺沢穴 (LU5), 太淵穴 (LU9), 関元穴 (CV4), 中〓穴 (CV12), 天突穴 (CV22), 豊隆穴 (ST40), 肺兪穴 (BL13), 腎兪穴 (BL23), 太谿穴 (Kl3)で, 鍼治療の頻度は1週間に1回で10週間継続した。 10週間後では, 鍼治療により喘息発作の改善と歩行距離の増加, 労作時呼吸困難の軽減, 呼吸機能の改善が得られた。本症例に鍼治療が有効と考えられた。
ISSN:0287-4857
1882-756X
DOI:10.3937/kampomed.56.567