Candida tropicalisの菌糸形成に特異的な遺伝子の検索
菌糸形成に伴う一連の事象を解析するためには,どのような遺伝子の発規が関わっているのかを調べることが有効な方法である.通常,菌糸形成に関わる突然変異体を多種分離して遺伝解析を行うが,こういったアプローチは,有性世代を欠き,しかも二倍体で存在するC.tropicalis酵母では困難である.我々は,酵母型と菌糸型の二つの異なる細胞形態を示す培養間で遺伝子発現に差があることを想定し,サブトラクション法を用いてこの酵母の菌糸形成の解析を試みた,またmRNAは分解を受けやすく扱いにくいため,cDNA間でサブトラクションを行う方法を開発した.これらの操作のため磁気粒子(Dynabeads)上でcDNAを形成...
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Published in | 日本医真菌学会雑誌 Vol. 39; no. 2; pp. 61 - 65 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医真菌学会
30.04.1998
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Subjects | |
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ISSN | 0916-4804 1882-0476 |
DOI | 10.3314/jjmm.39.61 |
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Summary: | 菌糸形成に伴う一連の事象を解析するためには,どのような遺伝子の発規が関わっているのかを調べることが有効な方法である.通常,菌糸形成に関わる突然変異体を多種分離して遺伝解析を行うが,こういったアプローチは,有性世代を欠き,しかも二倍体で存在するC.tropicalis酵母では困難である.我々は,酵母型と菌糸型の二つの異なる細胞形態を示す培養間で遺伝子発現に差があることを想定し,サブトラクション法を用いてこの酵母の菌糸形成の解析を試みた,またmRNAは分解を受けやすく扱いにくいため,cDNA間でサブトラクションを行う方法を開発した.これらの操作のため磁気粒子(Dynabeads)上でcDNAを形成させた. エタノール添加による菌糸形成培養で発現する遺伝子群から酵母形成培養で発現する遺伝子群を差し引いた遺伝子群には,酵母形成培養と菌糸形成培養とでほとんど同様に発現しているもの,菌糸形成培養での発現の方が強いもの,菌糸形成培養でのみ発現するもの,培養経過に従って発現の様式が異なるものに分類された,そのうち菌糸形成の段階で特異的に転写される遺伝子として,チアミン生合成の調節に転写因子としてはたらくとされている分裂酵母nmt1のホモローグや,ショウジョウバエの胚発生でRNAポリメラーゼIIIの転写制御に関わっているリボゾームタンパクS20をコードするサッカロミセス酵母遺伝子のホモローグURP2などがクローニングされてきた. |
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ISSN: | 0916-4804 1882-0476 |
DOI: | 10.3314/jjmm.39.61 |