イレウス管挿入中に発症した小腸穿孔の1例

症例は76歳男性.嘔気,嘔吐を主訴に当院内科を受診しイレウスの診断にて入院した. イレウスに対しイレウス管を挿入し,精査加療中であった.イレウス管挿入後第8病日,(イレウス管は230cm挿入) 38.0°Cの発熱,腹痛が出現した.第9病日には腹部単純レントゲン写真で腹腔内遊離ガス像が認められ,消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断し緊急手術を行った.上行結腸癌が原因のイレウスであり,多発性の回腸穿孔を認め,腹腔ドレナージ術,回腸部分切除術,回腸瘻造設術を施行した.回腸の切除標本では2列に縦走する多発性の潰瘍を認め,うち3カ所が穿孔性潰瘍であった.先端のバルーンがバウヒン弁を超え,逆戻りしない状態と...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 12; pp. 3050 - 3054
Main Authors 山木, 健一郎, 玉森, 豊, 妙中, 直之, 西村, 重彦, 吉川, 和彦, 安芸, 敏彦, 森本, 真人, 榎本, 準, 良河, 光一, 河村, 哲雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.12.1998
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.59.3050

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Summary:症例は76歳男性.嘔気,嘔吐を主訴に当院内科を受診しイレウスの診断にて入院した. イレウスに対しイレウス管を挿入し,精査加療中であった.イレウス管挿入後第8病日,(イレウス管は230cm挿入) 38.0°Cの発熱,腹痛が出現した.第9病日には腹部単純レントゲン写真で腹腔内遊離ガス像が認められ,消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断し緊急手術を行った.上行結腸癌が原因のイレウスであり,多発性の回腸穿孔を認め,腹腔ドレナージ術,回腸部分切除術,回腸瘻造設術を施行した.回腸の切除標本では2列に縦走する多発性の潰瘍を認め,うち3カ所が穿孔性潰瘍であった.先端のバルーンがバウヒン弁を超え,逆戻りしない状態となったイレウス管を軸として,回腸がアコーディオン状に折りたたまれた結果,イレウス管による圧迫が原因で,回腸に多発する縦走潰瘍が生じたものと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.59.3050