良性胆管狭窄に対するメタリックステント留置例の検討

良性胆管狭窄に対するメタリックステント(以下MS)留置の長期観察例を経験したので報告する.対象は7症例で,同時期に開腹下に胆管消化管バイパスをおいた7症例を対照群として成績を比較した.観察期間は8カ月から9年で原疾患は胆管空腸吻合後狭窄が3例,腫瘤形成性膵炎が2例,胆道結石術後が2例であった.留置前後のmortalityは0%, morbidityは14%であった.入院から治療完了までと入院期間は対照群に比べ有意に延長していた.再狭窄は1例に認め,開存率は1, 3, 5年それぞれ83.3%, 80.0%, 75%で,対照群は100%であった.外来では全例利胆薬と緩下剤にて胆汁の鬱滞を予防してお...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 10; pp. 2381 - 2385
Main Authors 柳澤, 暁, 柴, 浩明, 小林, 進, 武内, 孝介, 岡本, 友好, 二川, 康郎, 青木, 照明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.10.2001
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.62.2381

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Summary:良性胆管狭窄に対するメタリックステント(以下MS)留置の長期観察例を経験したので報告する.対象は7症例で,同時期に開腹下に胆管消化管バイパスをおいた7症例を対照群として成績を比較した.観察期間は8カ月から9年で原疾患は胆管空腸吻合後狭窄が3例,腫瘤形成性膵炎が2例,胆道結石術後が2例であった.留置前後のmortalityは0%, morbidityは14%であった.入院から治療完了までと入院期間は対照群に比べ有意に延長していた.再狭窄は1例に認め,開存率は1, 3, 5年それぞれ83.3%, 80.0%, 75%で,対照群は100%であった.外来では全例利胆薬と緩下剤にて胆汁の鬱滞を予防しており,胆汁の流出能の評価には胆道シンチグラフィーが有用であった.良性胆管狭窄に対するMS留置は論議の分かれるところであるが,われわれは2例の9年以上を含む経過良好な症例を経験し,注意深い術後の管理によって長期のpatencyを保ちうることが示唆された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.2381