妊娠出産後に増大したと考えられる後腹膜嚢胞性リンパ管腫の1例
症例は31歳,女性.主訴は腹痛と食欲不振.第2子を帝王切開にて出産.約2カ月後に症状出現.腹部CT検査で左上腹部に直径約12cmのcystic lesionを認めた.嚢胞には隔壁が存在し壁に沿って下腸間膜動脈が走行していた.摘出手術を行ったが,下腸間膜動脈根部の剥離が困難で,下行結腸とS状結腸の一部も切除した.摘出標本は,弾性に富む表面平滑な嚢胞で,内容は約1,500mlで乳白色乳び様であった.病理組織学的診断は嚢胞性リンパ管腫で,嚢胞壁に慢性炎症の所見を伴っていた. リンパ管腫の本邦報告例は, 1997年から2001年までに486例であるが,そのうち後腹膜に発生した症例が51例あった.近年は...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 63; no. 12; pp. 3062 - 3066 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.12.2002
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.63.3062 |
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Summary: | 症例は31歳,女性.主訴は腹痛と食欲不振.第2子を帝王切開にて出産.約2カ月後に症状出現.腹部CT検査で左上腹部に直径約12cmのcystic lesionを認めた.嚢胞には隔壁が存在し壁に沿って下腸間膜動脈が走行していた.摘出手術を行ったが,下腸間膜動脈根部の剥離が困難で,下行結腸とS状結腸の一部も切除した.摘出標本は,弾性に富む表面平滑な嚢胞で,内容は約1,500mlで乳白色乳び様であった.病理組織学的診断は嚢胞性リンパ管腫で,嚢胞壁に慢性炎症の所見を伴っていた. リンパ管腫の本邦報告例は, 1997年から2001年までに486例であるが,そのうち後腹膜に発生した症例が51例あった.近年は人間ドックや内視鏡検査の増加により,腸管や腹腔内の報告例が多く,今後の治療法として内視鏡や腹腔鏡下の手術や, OK-432などの薬剤を用いることが多くなると考えられる. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.63.3062 |