胃癌に対する腹腔鏡下胃局所切除術の検討
当院で早期胃癌に対し,腹腔鏡下胃局所切除術を行った41例について検討した.本術式の適応基準は,内視鏡的胃粘膜切除術(EMR)に準じた.手技はLesion lifting法40例,その他1例であった.手術時間は平均118分,出血量は中央値10gであった.何らかの理由で小開腹を追加したのは5例(12.2%)であったが,術後経過には影響しなかった.根治性の問題または合併症により再手術を要したのは4例(9.8%)であった.合併症は,胃の排出障害を7例,ドレーン抜去部からの出血を1例,狭窄を1例認めた.胃の排出障害は小網の剥離操作の有無と有意に相関したが,発症後3日以内の欠食措置で軽快した.予後は,異時...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 63; no. 10; pp. 2368 - 2373 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.10.2002
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.63.2368 |
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Summary: | 当院で早期胃癌に対し,腹腔鏡下胃局所切除術を行った41例について検討した.本術式の適応基準は,内視鏡的胃粘膜切除術(EMR)に準じた.手技はLesion lifting法40例,その他1例であった.手術時間は平均118分,出血量は中央値10gであった.何らかの理由で小開腹を追加したのは5例(12.2%)であったが,術後経過には影響しなかった.根治性の問題または合併症により再手術を要したのは4例(9.8%)であった.合併症は,胃の排出障害を7例,ドレーン抜去部からの出血を1例,狭窄を1例認めた.胃の排出障害は小網の剥離操作の有無と有意に相関したが,発症後3日以内の欠食措置で軽快した.予後は,異時性多発胃癌の発生を1例認めた.本術式は患者負担を軽減し,全層切除による正確な病理診断も可能な優れた術式である.この長所を活かしたEMRとの使い分けが必要と考えられる. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.63.2368 |