臨床分離株のβ-laclamase産生とSulbactam・Ampicillinの呼吸器感染症に対する臨床効果の検討

当院中検細菌室に提出ざれた各種検体から分離した臨床分離株グラム陽性球菌320株腸内細菌群160株, グルコース非発酵グラム陰性桿菌122株, Haemophilus属とBranhamella属など67株について, β-lactamase産生頻度と各種抗生物質に対する薬剤感受性を検討したところ, S. aureusのべニシリナーゼ産生率は58.1%で, アンピシリン耐性率は100%であったがペニシリナーゼ非産生株のアンピシリン耐性率は18.4%であった。またBranhamellasp.Moraxellasp. ではべニシリナーゼ産生率はそれぞれ45.5%, 16.7%でこれら3菌種に対しでSBT...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inCHEMOTHERAPY Vol. 36; no. Supplement8; pp. 204 - 213
Main Authors 山崎, 美智子, 早瀬, 満, 包原, 久志, 大谷, 信夫, 池端, 隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1988
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0009-3165
1884-5894
DOI10.11250/chemotherapy1953.36.Supplement8_204

Cover

More Information
Summary:当院中検細菌室に提出ざれた各種検体から分離した臨床分離株グラム陽性球菌320株腸内細菌群160株, グルコース非発酵グラム陰性桿菌122株, Haemophilus属とBranhamella属など67株について, β-lactamase産生頻度と各種抗生物質に対する薬剤感受性を検討したところ, S. aureusのべニシリナーゼ産生率は58.1%で, アンピシリン耐性率は100%であったがペニシリナーゼ非産生株のアンピシリン耐性率は18.4%であった。またBranhamellasp.Moraxellasp. ではべニシリナーゼ産生率はそれぞれ45.5%, 16.7%でこれら3菌種に対しでSBT・ABPCの細菌学的効果が期待しうる。 臨床効果の検討としで, 当院呼吸器内科に入院した19例20エピソードの呼吸器感染症にSulbactam・Ampicillin (SBT・ABPC) を投与したところ, マイコプラズマ肺炎を除いた19エピソードで著効2, 有効11, やや有効5, 無効1の結果が得られ, 有効率は68.4%であった。やや有効以下の6例は全例基礎疾患を有し, 1例を除いて5例は70歳以上の高齢者であった。起炎菌は19エピソードのうち16エピソードで判明した。Haemophilus influenzaeがPseudemonas aeruginosaに菌交代した1エピソードとHaemophilus influenzaeが残存した1エピソードの計2エピソードを除いた14エピソードで本剤によって除菌しえ, 除菌率は87.5%であった。更に本剤投与による重篤な副作用や臨床検査成績の異常は見られず, SBT・ABPCは呼吸器感染症の治療に有用な薬剤といえよう。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.36.Supplement8_204