B型肝炎ウイルスキャリアーに多数のMallory体の出現を見たacute alcoholic hepatitisの1症例

Hepatitis B Virus (HBV)多発家系の背景因子を有するHBV持続感染症の経過中に過剰の飲酒を契機にacute alcoholic hepatitisを示し黄疸出現後1カ月の経過で肝不全にて死亡した49歳男性症例を報告した. 肝臓の剖検所見では中心静脈-門脈間及び門脈相互間にbridging necrosisを伴った広範な亜小葉性肝細胞壊死を認めた.中心静脈硝子化,肝細胞周囲性の線維化と共に肝細胞内に多数のアルコール硝子体を認めた.同部位では特に強い肝細胞壊死と好中球の浸潤がみられた.オルセイン染色陽性細胞は散在性に,核内HBc抗原陽性細胞は極めて少数認められた. しかし同一細...

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Published in肝臓 Vol. 28; no. 11; pp. 1502 - 1506
Main Authors 藤川, 正直, 前田, 隆, 大西, 三朗, 山本, 泰猛, 伊藤, 憲一, 松浦, 靖, 大朏, 祐治, 井戸, 英司, 西原, 利治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1987
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.28.1502

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Summary:Hepatitis B Virus (HBV)多発家系の背景因子を有するHBV持続感染症の経過中に過剰の飲酒を契機にacute alcoholic hepatitisを示し黄疸出現後1カ月の経過で肝不全にて死亡した49歳男性症例を報告した. 肝臓の剖検所見では中心静脈-門脈間及び門脈相互間にbridging necrosisを伴った広範な亜小葉性肝細胞壊死を認めた.中心静脈硝子化,肝細胞周囲性の線維化と共に肝細胞内に多数のアルコール硝子体を認めた.同部位では特に強い肝細胞壊死と好中球の浸潤がみられた.オルセイン染色陽性細胞は散在性に,核内HBc抗原陽性細胞は極めて少数認められた. しかし同一細胞内にMallory body,オルセイン染色陽性所見の共存は認められなかった.これらの所見からMallory body,すなわちprekeratinの凝集体が存在するが如きcytoskeletonの高度の異常を生じた細胞内ではHBVの増殖が困難であると推定された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.28.1502