Lenampicillin (KBT-1585) の眼科領域における検討

Lenampicillin (KBT-1585, LAPC) はAmpicillin (ABPC) のプロドラッグで, 生体内ではABPCとして作用する抗生物質である。本剤の臨床分離株に対するMIC分布をみると, Staphylococcusに対しては0.2μg/ml~>100μg/ml, Enterobacter cloacaeに対しては12μg/ml~>100μg/ml, Klebsiella preumoniaeに対しては>100μg/mlにて, これらの菌に対する抗菌力は強いものではなかった。また本剤投与によるABPCの眼内移行を房水内移行と涙液内移行でみると, 前者...

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Published inCHEMOTHERAPY Vol. 32; no. Supplement8; pp. 729 - 733
Main Authors 葉田野, 博, 馬場, 安彦, 大西, 人美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1984
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ISSN0009-3165
1884-5894
DOI10.11250/chemotherapy1953.32.Supplement8_729

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Summary:Lenampicillin (KBT-1585, LAPC) はAmpicillin (ABPC) のプロドラッグで, 生体内ではABPCとして作用する抗生物質である。本剤の臨床分離株に対するMIC分布をみると, Staphylococcusに対しては0.2μg/ml~>100μg/ml, Enterobacter cloacaeに対しては12μg/ml~>100μg/ml, Klebsiella preumoniaeに対しては>100μg/mlにて, これらの菌に対する抗菌力は強いものではなかった。また本剤投与によるABPCの眼内移行を房水内移行と涙液内移行でみると, 前者ではピーク時に0.4μg/mlと低く, 後者ではピーク時に1.4μg/mlと高いことが知られた。 本剤の臨床成績であるが, 外眼部感染症32例 (外麦粒腫12例, 内麦粒腫13例, 角膜浸潤5例, 眼瞼蜂窩織炎1例, 急性涙嚢炎1例) に対し本剤を1回250mg, 1日3回, 3日間の投与を原則としたが, 著効1例, 有効22例, やや有効5例, 無効4例にて有効率71.8%であり, 臨床分離菌に対するABPCのMIC分布からみて, KBT-1585の効果はin vitroよりin vivoにて著明であることが示唆された。また涙液内濃度の良好さは, 角膜浸潤に対し特に有効であったと思われ, 本疾患に対する有効率は80%であった。 本剤投与による副作用は自覚的には全例認められず本剤は有用性の高い薬剤であることが知られた。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.32.Supplement8_729