肝癌患者にみられる自己抗体について-抗核抗体を中心に
肝癌70例,肝癌以外の悪性腫瘍60例,慢性肝疾患63例,健常者145例について,抗核抗体,抗平滑筋抗体,抗ミトコンドリア抗体,リウマチ因子,LE因子,サイログロブリン抗体およびマイクロゾーム抗体の7項目の自己抗体を検索した.癌患者血清中の抗核抗体は肝癌24.3%,肝癌以外の悪性腫瘍23.3%と比較的高頻度に出現した.肝癌における抗核抗体はリウマチ因子,抗平滑筋抗体を含め他の自己抗体と相関はなく,またHBs抗原,性別,年齢との相関も認めなかった.経時的に検討しえた肝癌患者10例のうちで,慢性肝疾患から肝癌を発症し抗核抗体陽性となったものが2例,一方肝癌切除後抗核抗体が陰性となったものが1例あり,...
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Published in | 肝臓 Vol. 27; no. 11; pp. 1539 - 1545 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
1986
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Subjects | |
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ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.27.1539 |
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Summary: | 肝癌70例,肝癌以外の悪性腫瘍60例,慢性肝疾患63例,健常者145例について,抗核抗体,抗平滑筋抗体,抗ミトコンドリア抗体,リウマチ因子,LE因子,サイログロブリン抗体およびマイクロゾーム抗体の7項目の自己抗体を検索した.癌患者血清中の抗核抗体は肝癌24.3%,肝癌以外の悪性腫瘍23.3%と比較的高頻度に出現した.肝癌における抗核抗体はリウマチ因子,抗平滑筋抗体を含め他の自己抗体と相関はなく,またHBs抗原,性別,年齢との相関も認めなかった.経時的に検討しえた肝癌患者10例のうちで,慢性肝疾患から肝癌を発症し抗核抗体陽性となったものが2例,一方肝癌切除後抗核抗体が陰性となったものが1例あり,腫瘍発生と抗核抗体の出現に何らかの係わりのあることが示唆された. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.27.1539 |