喉摘術後胃癌患者に対して胃切除と遊離回盲部パッチを用いた音声再建を同時に行った1例

無喉頭の早期胃癌患者に対して,胃癌根治術と同時に遊離回盲部パッチを用いた二期的音声再建の本邦2例目に成功した.症例は65歳,女性. 2年前に喉頭浸潤甲状腺癌にて甲状腺全摘と喉頭全摘が他施設で施行され,食道発声法の習得ができず,全く発声不能の状況であった.今回,幽門部の早期癌で根治手術が可能と判断され入院.胃癌に対しては幽門側胃切除を行い, Billroth I法で再建した.次に,回盲部を遊離グラフトとして切除し,頸部にて顕微鏡下で血行再建を施行.咽頭前面を露出し縦切開をおき,ここに回盲部パッチを充てた.発声のための回腸導管は永久気管と端側吻合した.本法は,二期的音声再建に遊離腸管を応用できる唯...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 66; no. 11; pp. 2862 - 2865
Main Authors 小林, 慎, 目黒, 英二, 早川, 善郎, 入野田, 崇, 野田, 芳範, 貝塚, 広史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.11.2005
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:無喉頭の早期胃癌患者に対して,胃癌根治術と同時に遊離回盲部パッチを用いた二期的音声再建の本邦2例目に成功した.症例は65歳,女性. 2年前に喉頭浸潤甲状腺癌にて甲状腺全摘と喉頭全摘が他施設で施行され,食道発声法の習得ができず,全く発声不能の状況であった.今回,幽門部の早期癌で根治手術が可能と判断され入院.胃癌に対しては幽門側胃切除を行い, Billroth I法で再建した.次に,回盲部を遊離グラフトとして切除し,頸部にて顕微鏡下で血行再建を施行.咽頭前面を露出し縦切開をおき,ここに回盲部パッチを充てた.発声のための回腸導管は永久気管と端側吻合した.本法は,二期的音声再建に遊離腸管を応用できる唯一の術式であるが,開腹による腸管切除を必要とする欠点があった.今回は胃癌手術と同時に音声再建術を受けることで同意を得られ,これにより,胃癌の根治に加え,失われていた声が甦った.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.66.2862