腹腔洗浄細胞診で癌細胞陽性胃癌の臨床病理学的検討
術前画像診断にて深達度T2以上と診断し,開腹時に腹腔洗浄細胞診(以下, cy)を施行した原発胃癌切除49例を対象に, cy陽性例の臨床病理学的特徴について検討した.本検討ではClass III以上を細胞診陽性として判定することとし,この場合,対象全例におけるcy陽性率は38.8% (19/49) であった. cy陽性率と相関を認めた腫瘍側因子として, P因子陽性,組織学的漿膜浸潤陽性および浸潤性増殖様式 (INFγ) を挙げることができた.一方, P因子陰性cy陽性を5例に認め,経過観察中の1例を除く4例は術後2年以内に腹膜再発にて死亡した.以上より,胃癌の進行とともに潜在的腹膜播種の危険性が...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 60; no. 11; pp. 2836 - 2840 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.11.1999
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.60.2836 |
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Summary: | 術前画像診断にて深達度T2以上と診断し,開腹時に腹腔洗浄細胞診(以下, cy)を施行した原発胃癌切除49例を対象に, cy陽性例の臨床病理学的特徴について検討した.本検討ではClass III以上を細胞診陽性として判定することとし,この場合,対象全例におけるcy陽性率は38.8% (19/49) であった. cy陽性率と相関を認めた腫瘍側因子として, P因子陽性,組織学的漿膜浸潤陽性および浸潤性増殖様式 (INFγ) を挙げることができた.一方, P因子陰性cy陽性を5例に認め,経過観察中の1例を除く4例は術後2年以内に腹膜再発にて死亡した.以上より,胃癌の進行とともに潜在的腹膜播種の危険性が高まると考えられ, cy陽性例に対しては腹膜再発の可能性を念頭においた重点的補助療法が必要であると考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.60.2836 |