臓器軸性胃軸捻転症を伴った成人食道裂孔ヘルニアの1例

症例は51歳,女性.心窩部のつかえ感および疼痛を主訴に来院した.胸部X線写真では縦隔内に消化管ガス像を認め,上部消化管透視では,臓器軸性に捻転した全胃がいわゆるupside down stomachの像を呈し左横隔膜上に脱出していた.臓器軸性胃軸捻転症を伴った食道裂孔ヘルニアと診断し開腹術を行った.ヘルニア内容は全胃,大網,横行結腸であり腹腔内への還納は容易であった.食道裂孔は約6×4.5cmと開大していた.手術はヘルニア嚢を結紮切除した後に食道裂孔を縫縮し,さらにNissen法によるfun-doplicationを加えた.胃軸捻転症は新生児,幼児に好発し成人発症例は少ない.本症例のように胃軸...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 11; pp. 2723 - 2726
Main Authors 三谷, 英信, 辻, 和宏, 池田, 宏国, 斉藤, 誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.11.2003
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.64.2723

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Summary:症例は51歳,女性.心窩部のつかえ感および疼痛を主訴に来院した.胸部X線写真では縦隔内に消化管ガス像を認め,上部消化管透視では,臓器軸性に捻転した全胃がいわゆるupside down stomachの像を呈し左横隔膜上に脱出していた.臓器軸性胃軸捻転症を伴った食道裂孔ヘルニアと診断し開腹術を行った.ヘルニア内容は全胃,大網,横行結腸であり腹腔内への還納は容易であった.食道裂孔は約6×4.5cmと開大していた.手術はヘルニア嚢を結紮切除した後に食道裂孔を縫縮し,さらにNissen法によるfun-doplicationを加えた.胃軸捻転症は新生児,幼児に好発し成人発症例は少ない.本症例のように胃軸捻転症を伴い全胃が脱出した成人食道裂孔ヘルニアは稀な症例と思われ報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.64.2723