Gardner症候群の1例

軟部組織腫瘍,骨腫,大腸ポリポージスの三徽候を呈するGardner症候群は1950年Gardnerらによつてはじめて報告され,その遺伝傾向とともに注目されている.最近経験した完全型Gardner症候群のまれな1例を報告する.患者は37才の主婦.時折下痢,血便,下腹部痛を認め昭和47年7月当科外来で注腸バリウム検査により大腸全域に多発性のポリープ陰影を認め,さらに上部消化管の検索で胃のポリポージスの合併をみた.さらに十二指腸,空腸にも数個のポリープがみられ,骨のX線検査では右上腕骨中央に軽度の骨質の肥厚と右足第II中節骨に内骨腫を認めた.既往に頚部より摘出した軟部組織腫瘍は組織学的に毛のうより発...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 63; no. 11; pp. 1295 - 1302
Main Authors 片山, 吏司, 山口, 一行, 後町, 洋一, 漆崎, 一朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 1974
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Summary:軟部組織腫瘍,骨腫,大腸ポリポージスの三徽候を呈するGardner症候群は1950年Gardnerらによつてはじめて報告され,その遺伝傾向とともに注目されている.最近経験した完全型Gardner症候群のまれな1例を報告する.患者は37才の主婦.時折下痢,血便,下腹部痛を認め昭和47年7月当科外来で注腸バリウム検査により大腸全域に多発性のポリープ陰影を認め,さらに上部消化管の検索で胃のポリポージスの合併をみた.さらに十二指腸,空腸にも数個のポリープがみられ,骨のX線検査では右上腕骨中央に軽度の骨質の肥厚と右足第II中節骨に内骨腫を認めた.既往に頚部より摘出した軟部組織腫瘍は組織学的に毛のうより発生した石灰化上皮腫であつた.家系調査では患者の母は53才で直腸癌で死亡,同胞6名中2名が若年で直腸癌で死亡.うち一人は脂肪腫を合併していた.本症例に大腸全摘出術を行なつたが,摘出標本では直腸部から回盲部まで米粒大から示指頭大のポリープが無数に密生し,組織学的検討では,いずれも粘膜表在性に早期癌と考えられる悪性変化が認められた.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.63.1295