外科領域感染症に対するBRL 28500 (Clavulanic acid-Ticarcillin) の臨床使用成績

BRL 28500はclavulanic acid (CVA) とticarcillin (TIPC) を1:15の割合に配合し, β-lactamase産生菌にまで抗菌スペクトラムの拡大を目的とした注射用抗生物質製剤である。本剤3.29を3名の健康成人に30分点滴静注した時の血清中TIPC濃度は, 点滴終了時にピーク値平均329.1μg/mlを示し, 血清中CVA濃度ピーク値16.2μg/mlを示した。 尿中へは6時間までに, TIPCは78.3%, CVAは61.2%が排泄された。 創液内へは1時間後から移行がみとめられ, TIPC濃度は徐々に増加し, 5~6時間で36.9μg/mlを示し...

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Published inCHEMOTHERAPY Vol. 34; no. Supplement4; pp. 818 - 832
Main Authors 佐々木, 武也, 上田, 隆美, 沢田, 晃, 藤本, 幹夫, 前田, 貞邦, 光吉, 聖, 酒井, 克治, 土居, 進, 政田, 明徳, 森本, 譲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1986
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ISSN0009-3165
1884-5894
DOI10.11250/chemotherapy1953.34.Supplement4_818

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Summary:BRL 28500はclavulanic acid (CVA) とticarcillin (TIPC) を1:15の割合に配合し, β-lactamase産生菌にまで抗菌スペクトラムの拡大を目的とした注射用抗生物質製剤である。本剤3.29を3名の健康成人に30分点滴静注した時の血清中TIPC濃度は, 点滴終了時にピーク値平均329.1μg/mlを示し, 血清中CVA濃度ピーク値16.2μg/mlを示した。 尿中へは6時間までに, TIPCは78.3%, CVAは61.2%が排泄された。 創液内へは1時間後から移行がみとめられ, TIPC濃度は徐々に増加し, 5~6時間で36.9μg/mlを示した。しかし, CVA濃度は0.4~0.8μg/mlにとどまっていた。 胆汁中へは症例により差をみとめるものの, 胆汁中TIPC濃度は, 1例では1~2時間で192.9μg/ml, 4~5時間で168.9μg/mlの2峰性を示し, CVA濃度はTIPCと同様1~2時間で2.7μg/ml, 4~5時間で1.6μg/mlを示した。 他の1例では1~2時間にTIPC 107.8μg/ml, CVA3.3μg/mlの胆汁移行を示した。 本剤を外科領域の感染症23例に投与し, 著効8, 有効8, やや有効3, 無効4, 有効率69.6%を得た。 疾患別にみると, 胆管炎5例中4例, 術後腹腔内感染6例中4例, 腹膜炎3例中2例, 術後創感染4例中4例, その他2例中2例に効果がみられた。 副作用は1例もみとめられなかったが, 臨床検査値異常として好酸球増多1例, GOT・GPT値の軽度上昇が2例にみとめられた。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.34.Supplement4_818