鼠径ヘルニア根治手術後,メッシュプラグによる大腸穿通をきたした1例

メッシュプラグ法による鼠径ヘルニア根治手術後,プラグが大腸に穿通した症例を経験したので報告する.症例は79歳の女性.平成7年より,自己免疫性肝炎にてプレドニンを内服していた.平成8年9月,メッシュプラグ法による右内鼠径ヘルニアの手術を施行した.平成10年2月より右鼠径部の腫脹が出現,平成12年12月より同部に圧痛を認めたため,平成13年1月手術を施行した.皮下を開くと膿瘍を認め,腱膜上の瘻孔を経てメッシュプラグを剥離すると,プラグは腹腔内に突出し,小腸および盲腸に癒着して,盲腸と瘻孔をつくっていた.盲腸を部分切除し, McVay変法にて修復した.われわれの経験上,メッシュプラグ手術後に他の疾患...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 11; pp. 2963 - 2966
Main Authors 野垣, 岳志, 大島, 健司, 小西, 滋, 舟橋, 啓臣, 酒向, 猛, 伊藤, 浩明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.11.2004
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.65.2963

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Summary:メッシュプラグ法による鼠径ヘルニア根治手術後,プラグが大腸に穿通した症例を経験したので報告する.症例は79歳の女性.平成7年より,自己免疫性肝炎にてプレドニンを内服していた.平成8年9月,メッシュプラグ法による右内鼠径ヘルニアの手術を施行した.平成10年2月より右鼠径部の腫脹が出現,平成12年12月より同部に圧痛を認めたため,平成13年1月手術を施行した.皮下を開くと膿瘍を認め,腱膜上の瘻孔を経てメッシュプラグを剥離すると,プラグは腹腔内に突出し,小腸および盲腸に癒着して,盲腸と瘻孔をつくっていた.盲腸を部分切除し, McVay変法にて修復した.われわれの経験上,メッシュプラグ手術後に他の疾患で開腹手術をした症例では,埋め込んだプラグが腹腔内にかなり突出しているのを確認できる.この突出が,ステロイド内服などによる組織の脆弱化などを背景として,今回の腸管穿通の原因になったと考えられる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.2963