胃リンパ腫,早期胃癌と重複した早期胃内分泌細胞癌の1例

症例は79歳,女性.平成11年9月心窩部不快感を主訴に来院した.胃内視鏡検査にて胃体上部後壁に隆起性病変を,胃体上部前壁に粗ぞう凹凸な粘膜を,胃角前壁に中心陥凹を有する粘膜下腫瘍様病変を認めた.生検では,それぞれ中分化腺癌, MALTリンパ腫疑い, MALTリンパ腫疑いであった. H. Pylori除菌後に胃全摘術(D2)を行った.切除標本では胃体上部後壁に2.5×1.8cmのI型早期胃癌(tub2, sm1, ly0, v0, n0),胃体上部前壁には組織学的にMALTリンパ腫を認めた.胃角前壁には中心陥凹のある4.0×2.8cm大の粘膜下腫瘍様病変を認めた.中心陥凹の一部に分化型腺癌を認め...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 12; pp. 2913 - 2917
Main Authors 酒徳, 光明, 家接, 健一, 中島, 久幸, 清原, 薫, 小杉, 光世, 寺畑, 信太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.12.2001
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Summary:症例は79歳,女性.平成11年9月心窩部不快感を主訴に来院した.胃内視鏡検査にて胃体上部後壁に隆起性病変を,胃体上部前壁に粗ぞう凹凸な粘膜を,胃角前壁に中心陥凹を有する粘膜下腫瘍様病変を認めた.生検では,それぞれ中分化腺癌, MALTリンパ腫疑い, MALTリンパ腫疑いであった. H. Pylori除菌後に胃全摘術(D2)を行った.切除標本では胃体上部後壁に2.5×1.8cmのI型早期胃癌(tub2, sm1, ly0, v0, n0),胃体上部前壁には組織学的にMALTリンパ腫を認めた.胃角前壁には中心陥凹のある4.0×2.8cm大の粘膜下腫瘍様病変を認めた.中心陥凹の一部に分化型腺癌を認めるが,浸潤部はクロモグラニン陽性の小細胞が髄様に筋層直上まで増殖し内分泌細胞癌と診断した(sm2, ly1, v1, n1).術後経過は良好で術後23日で退院した.胃内分泌細胞癌は早期癌でも再発をきたしやすいとされており,慎重に経過観察中である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.2913