耳鼻咽喉科領域におけるMeropenemの基礎的臨床的検討
新しく開発されたカルバペネム系抗生物質であるMeropenem (MEPM) の耳鼻咽喉科領域感染症における有用性, 安全性を評価する目的で, 基礎的・臨床的検討を試みた。基礎的には, 耳鼻咽喉科手術患者15症例を対象に, MEPM500mgを点滴静注し, 65~160分後の血中濃度および各組織中濃度 (扁桃2例, 中耳粘膜3例, 上顎洞粘膜10例, 上顎洞貯留液7例) を測定した。その結果, 血中濃度は, 2.65~19.2μg/ml (平均9.46μg/ml), 扁桃では0.4~0.8μg/9, 中耳粘膜では0.69~1.35μg/g, 上顎洞粘膜では0.50~5.05μg/g, 上顎洞貯...
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Published in | CHEMOTHERAPY Vol. 40; no. Supplement1; pp. 701 - 709 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本化学療法学会
1992
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Subjects | |
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Summary: | 新しく開発されたカルバペネム系抗生物質であるMeropenem (MEPM) の耳鼻咽喉科領域感染症における有用性, 安全性を評価する目的で, 基礎的・臨床的検討を試みた。基礎的には, 耳鼻咽喉科手術患者15症例を対象に, MEPM500mgを点滴静注し, 65~160分後の血中濃度および各組織中濃度 (扁桃2例, 中耳粘膜3例, 上顎洞粘膜10例, 上顎洞貯留液7例) を測定した。その結果, 血中濃度は, 2.65~19.2μg/ml (平均9.46μg/ml), 扁桃では0.4~0.8μg/9, 中耳粘膜では0.69~1.35μg/g, 上顎洞粘膜では0.50~5.05μg/g, 上顎洞貯留液では0.47~6.29μg/mlであった。 臨床成績では, 慢性副鼻腔炎, 慢性化膿性中耳炎, 急性中耳炎, 扁桃周囲炎, 陰窩性扁桃炎, 扁桃周囲膿瘍, 急性咽喉頭炎, 急性喉頭蓋炎, 急性顎下腺炎, 耳介軟骨膜炎などの耳鼻咽喉科感染症の計46例に本剤を1回500mg1日2回点滴静注し, 判定不能2例を除いた44例中, 著効20例, 有効18例, やや有効6例で, 有効率86.4%と良好な成績が得られた。 細菌学的効果では, 31症例に40菌株を検出し, 好気性グラム陽性菌で96.3%, 好気性グラム陰性菌で100%, 嫌気性菌で100%, 全体で97.0%の高い消失率が得られた。 副作用は1例も認められず, 臨床検査値の異常は, GOTおよびGPTの上昇2例, GPTの上昇2例, WBCの減少1例が認められたが, いずれも軽度の変動であった。 |
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ISSN: | 0009-3165 1884-5894 |
DOI: | 10.11250/chemotherapy1953.40.Supplement1_701 |