胸部食道癌に対する胸筋温存開胸+HALS手術と通常開胸開腹手術の短期的手術成績に関する検討

われわれは胸筋温存開胸+用手補助腹腔鏡手術(HALS)が手術侵襲の軽減に寄与するか否かを検討した. 2000年4月～2001年10月の間,術前未治療で重篤な合併疾患がない23例の胸部食道癌症例を対象とし,通常開胸開腹群(open TA) 12例と胸筋温存開胸+HALS群(MPT+HALS) 11例で比較検討した.患者背景には差はなかった.手術時間,郭清リンパ節個数に差がなく,出血量はMPT+HALS群で少ないが有意差は認めなかった. IL-6の変化ではopen TA群と比べMPT+HALS群が低値で推移し,術後1日目で有意差を示した(P=0.044).白血球数とCRPでは差がなかった.術後のS...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 10; pp. 2563 - 2569
Main Authors 田中, 優一, 山名, 秀明, 森, 直樹, 笹原, 弘子, 白水, 和雄, 藤田, 博正, 田中, 寿明, 的野, 吾, 末吉, 晋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.10.2004
Subjects
手術侵襲
胸筋温存開胸
胸部食道癌
鏡視下手術
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.65.2563

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Summary:われわれは胸筋温存開胸+用手補助腹腔鏡手術(HALS)が手術侵襲の軽減に寄与するか否かを検討した. 2000年4月～2001年10月の間,術前未治療で重篤な合併疾患がない23例の胸部食道癌症例を対象とし,通常開胸開腹群(open TA) 12例と胸筋温存開胸+HALS群(MPT+HALS) 11例で比較検討した.患者背景には差はなかった.手術時間,郭清リンパ節個数に差がなく,出血量はMPT+HALS群で少ないが有意差は認めなかった. IL-6の変化ではopen TA群と比べMPT+HALS群が低値で推移し,術後1日目で有意差を示した(P=0.044).白血球数とCRPでは差がなかった.術後のSIRS期間はMPT+HALS群で有意に短縮した(P=0.014).呼吸器装着期間,術後排ガスまでの期間では有意差を認めなかった. 1カ月後の%VC減少率はMPT+HALS群が有意に少なかった(P=0.049).術後合併症の発生率は, MPT+HALS群で少ない傾向を認めたが有意差はなかった.胸筋温存開胸+HALSでは,手術侵襲の軽減ならびに術後早期の呼吸機能障害の軽減が期待できる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.2563