早期胃癌肝転移症例の臨床病理学的特徴
早期胃癌の再発形式で最も頻度が高いのは肝転移である.われわれは早期胃癌肝転移high risk groupの臨床病理学的特徴を明らかにするため,今までに経験した早期胃癌肝転移症例の原発巣14例を用い,その臨床病理学的所見を他の肝転移のない早期胃癌症例304例と比較検討した.肝転移例の臨床病理学的特徴は1. 胃下部特に幽門前庭部に多い, 2. 肉眼型は混合型が多く,陥凹型が少ない, 3. 粘膜下層浸潤癌(sm2~sm3), 4. 組織型は分化型管状腺癌または低分化腺癌で,間質は髄様型が多い, 5.背景粘膜は腸上皮化生高度例が多い, 6. 脈管侵襲陽性, 7. リンパ節転移率が高いことであった,こ...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 60; no. 10; pp. 2578 - 2583 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.10.1999
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.60.2578 |
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Summary: | 早期胃癌の再発形式で最も頻度が高いのは肝転移である.われわれは早期胃癌肝転移high risk groupの臨床病理学的特徴を明らかにするため,今までに経験した早期胃癌肝転移症例の原発巣14例を用い,その臨床病理学的所見を他の肝転移のない早期胃癌症例304例と比較検討した.肝転移例の臨床病理学的特徴は1. 胃下部特に幽門前庭部に多い, 2. 肉眼型は混合型が多く,陥凹型が少ない, 3. 粘膜下層浸潤癌(sm2~sm3), 4. 組織型は分化型管状腺癌または低分化腺癌で,間質は髄様型が多い, 5.背景粘膜は腸上皮化生高度例が多い, 6. 脈管侵襲陽性, 7. リンパ節転移率が高いことであった,これらの臨床病理学的特徴をもつ早期胃癌症例は肝転移再発のhigh risk groupであり,進行癌に準じた手術,経過観察,状況に応じた補助化学療法が必要である. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.60.2578 |