胃癌異時性脾転移の1切除例

64歳,男性.体下部3型胃癌に対し,幽門側胃切除術, 2群リンパ節郭清を施行した.胃癌は中分化腺癌で漿膜に接しており, 2群リンパ節転移を伴っていた.腫瘍マーカーが徐々に上昇し, 22カ月後にはCEA69.3ng/mlとなった.CT所見では,脾臓の横隔膜側に3cm大と2cm大の腫瘍が接していた.他に明らかな転移を認めなかったため,脾摘出術を行った. 2個の腫瘍はともに白色で多結節性であった.病理組織学的には脾腫瘍は腺癌で胃癌転移と診断した.脾門部にリンパ節転移を認めず,血行性転移と考えている.術後12カ月の現在,無再発生存中である. 医学中央雑誌で検索すると,胃癌異時性脾転移は自験例を含めて1...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 10; pp. 2457 - 2460
Main Authors 渡邉, 克隆, 塩見, 正哉, 神谷, 諭, 東島, 由一郎, 水野, 敬輔, 神谷, 順一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.10.2006
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Summary:64歳,男性.体下部3型胃癌に対し,幽門側胃切除術, 2群リンパ節郭清を施行した.胃癌は中分化腺癌で漿膜に接しており, 2群リンパ節転移を伴っていた.腫瘍マーカーが徐々に上昇し, 22カ月後にはCEA69.3ng/mlとなった.CT所見では,脾臓の横隔膜側に3cm大と2cm大の腫瘍が接していた.他に明らかな転移を認めなかったため,脾摘出術を行った. 2個の腫瘍はともに白色で多結節性であった.病理組織学的には脾腫瘍は腺癌で胃癌転移と診断した.脾門部にリンパ節転移を認めず,血行性転移と考えている.術後12カ月の現在,無再発生存中である. 医学中央雑誌で検索すると,胃癌異時性脾転移は自験例を含めて13例と稀であった.術後平均生存期間は14.5カ月であった.摘出例11例では6例が1年以上生存しており,摘出する意義はあると考える.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.67.2457