BRL 28500 (Clavulanic acid-Ticarcillin) に関する基礎的・臨床的研究
Ticarcillin (TIPC)・Clavulanic acid (CVA) 合剤であるBRL 28500 (BRL) の抗菌力・体内動態・臨床的有用性を検討した。 1) 臨床分離のS. aureus, E. coli, P. mirabilisのβ-lactamase産生株にBRLまたはCVA (2-10μg/ml) 添加TIPCは, TIPC単独よりも強い試験管内抗菌力を示し, S. marcescensのTIPC耐性株でもCVAによるMICの低下がみられたが, P. aeruginosa, K. pneumoniaeにはCVA添加の効果はみられなかった。 2) 健常成人5名にBRL1...
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Published in | CHEMOTHERAPY Vol. 34; no. Supplement4; pp. 603 - 618 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本化学療法学会
1986
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0009-3165 1884-5894 |
DOI | 10.11250/chemotherapy1953.34.Supplement4_603 |
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Summary: | Ticarcillin (TIPC)・Clavulanic acid (CVA) 合剤であるBRL 28500 (BRL) の抗菌力・体内動態・臨床的有用性を検討した。 1) 臨床分離のS. aureus, E. coli, P. mirabilisのβ-lactamase産生株にBRLまたはCVA (2-10μg/ml) 添加TIPCは, TIPC単独よりも強い試験管内抗菌力を示し, S. marcescensのTIPC耐性株でもCVAによるMICの低下がみられたが, P. aeruginosa, K. pneumoniaeにはCVA添加の効果はみられなかった。 2) 健常成人5名にBRL1.6g, 3.2gをcross over法で点滴静注 (1時間) した直後の平均血中濃度は, TIPC 103.2μg/ml (3.29), 45.1μg/ml (1.69); CVA 9.8μg/ml (3.29), 3.0μg/ml (1.69) で, TIPC: CVAの比はそれぞれ10:1, 15:1となり, BRL中の配合比に近かったが, 以後, 血中濃度の低下に伴ってこの比は上昇した。尿中回収率 (6時間以内) はTIPCの約50%, CVAの30~40%であった。 3) 14症例にBRL点滴静注 (1回1.6~3.2g 1日2~4回,; 2.5~15.0日間) を試み, 効果判定可能12例中9例 (肺炎5例中3例, 肺化膿症1例, 急性気管支炎2例, 腎孟腎炎3例の全例) に有効で, 細菌学的にもさきの試験管内抗菌力の成績と符合する点がみられた。副作用として発疹2例 (1例は嘔気を伴う), GOT, GPT上昇2例, 好酸球軽度増加1例がみられた。基礎疾患を持つ例が多かったことを考えれば, 本剤の有用性を示す成績といえよう。 |
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ISSN: | 0009-3165 1884-5894 |
DOI: | 10.11250/chemotherapy1953.34.Supplement4_603 |