肺内リンパ節5症例の経験

肺野末梢の孤立性小腫瘤影の診断には難渋する.原発性肺癌や転移性肺癌などの悪性疾患との鑑別が特に重要であるが,その他,炎症性病変,過誤腫などの良性疾患も含め鑑別診断は多岐にわたる.その中でわれわれは肺内リンパ節を5例経験した.男性2例,女性3例で,平均年齢は60.2歳であった.喫煙者は男性の2例のみであったが,術中所見では他の女性3例も含め全例にリンパ節への炭粉沈着を認めた.いずれも病変は胸膜直下に存在し,径2~10mm大で,内4例は中下葉に存在した.既往歴として悪性疾患を持つものが4例あった.画像上鑑別診断は困難で肺転移を疑う場合はVATSによる積極的な切除を行うべきものと考える.悪性疾患の既...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 10; pp. 2390 - 2393
Main Authors 大成, 亮次, 沖政, 盛治, 柴田, 諭, 西亀, 正之, 浅原, 利正, 吉岡, 伸吉郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.10.2001
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.62.2390

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Summary:肺野末梢の孤立性小腫瘤影の診断には難渋する.原発性肺癌や転移性肺癌などの悪性疾患との鑑別が特に重要であるが,その他,炎症性病変,過誤腫などの良性疾患も含め鑑別診断は多岐にわたる.その中でわれわれは肺内リンパ節を5例経験した.男性2例,女性3例で,平均年齢は60.2歳であった.喫煙者は男性の2例のみであったが,術中所見では他の女性3例も含め全例にリンパ節への炭粉沈着を認めた.いずれも病変は胸膜直下に存在し,径2~10mm大で,内4例は中下葉に存在した.既往歴として悪性疾患を持つものが4例あった.画像上鑑別診断は困難で肺転移を疑う場合はVATSによる積極的な切除を行うべきものと考える.悪性疾患の既往の無い症例では方針決定に難渋するが, CT精度の進歩により今後ますます肺内リンパ節症例が増加することが予想される.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.2390