盲腸原発T細胞性悪性リンパ腫の1例

症例は69歳,男性.右鼠径部腫瘤にて当院受診し,鼠径ヘルニアの診断で手術を施行した.手術時腹水を認めたため悪性腫瘍を疑い,術後腹部CTを施行した.下行結腸から盲腸に腸管壁が全周性に肥厚し,その外側近傍に径10cm程の,空気を含んだ腫瘤像を認めたため消化管穿孔を伴う腫瘍が疑われた.開腹時,右傍結腸溝に弾性軟の腫瘍を認め,腫瘍内は便汁で,穿孔部は盲腸であった.盲腸から発生した腫瘍と判断し結腸右半切除術を施行した.病理組織学的には小形異型リンパ球が腸管壁全層にびまん性に浸潤し, CD3陽性, CD20およびCD79αは陰性であるため, T細胞性悪性リンパ腫と診断された.大腸原発T細胞性悪性リンパ腫症...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 11; pp. 2650 - 2654
Main Authors 高橋, 直人, 岩渕, 秀一, 矢永, 勝彦, 墨, 誠, 阿部, 光文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.11.2006
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.67.2650

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Summary:症例は69歳,男性.右鼠径部腫瘤にて当院受診し,鼠径ヘルニアの診断で手術を施行した.手術時腹水を認めたため悪性腫瘍を疑い,術後腹部CTを施行した.下行結腸から盲腸に腸管壁が全周性に肥厚し,その外側近傍に径10cm程の,空気を含んだ腫瘤像を認めたため消化管穿孔を伴う腫瘍が疑われた.開腹時,右傍結腸溝に弾性軟の腫瘍を認め,腫瘍内は便汁で,穿孔部は盲腸であった.盲腸から発生した腫瘍と判断し結腸右半切除術を施行した.病理組織学的には小形異型リンパ球が腸管壁全層にびまん性に浸潤し, CD3陽性, CD20およびCD79αは陰性であるため, T細胞性悪性リンパ腫と診断された.大腸原発T細胞性悪性リンパ腫症例は消化管リンパ腫の中でも稀なため文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.67.2650