胆汁酸腸石による小腸イレウスの1例

自然排出困難な腸石による小腸閉塞の1例を経験したので報告する.症例は80歳女性.臍周囲の間歇的疼痛を認め,次第に持続的となり救急搬送された.腹部単純X線で小腸ガスを認め,イレウスの疑いで精査目的入院した.禁飲食,輸液による保存的治療を行い,自覚症状,腹部所見,腹部X線所見の改善が認められた.流動食を開始したが,再び腹痛が出現し腹部X線で小腸ガスの増加が認められた.腹部超音波, CT検査で小腸内に4cm大の結石像が認められた.小腸造影検査では4cm大の辺縁平滑な陰影欠損像が認められた.糞石あるいは小腸異物の診断で自然排出困難と考え手術を施行した.回盲部から110cmの回腸内に径4cmの硬い腫瘤と...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 10; pp. 2592 - 2596
Main Authors 栗原, 直人, 下山, 豊, 朝戸, 裕, 古川, 俊治, 西堀, 英樹, 土橋, 誠一郎, 篠原, 央, 壁島, 康郎, 古田, 一徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.10.1998
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.59.2592

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Summary:自然排出困難な腸石による小腸閉塞の1例を経験したので報告する.症例は80歳女性.臍周囲の間歇的疼痛を認め,次第に持続的となり救急搬送された.腹部単純X線で小腸ガスを認め,イレウスの疑いで精査目的入院した.禁飲食,輸液による保存的治療を行い,自覚症状,腹部所見,腹部X線所見の改善が認められた.流動食を開始したが,再び腹痛が出現し腹部X線で小腸ガスの増加が認められた.腹部超音波, CT検査で小腸内に4cm大の結石像が認められた.小腸造影検査では4cm大の辺縁平滑な陰影欠損像が認められた.糞石あるいは小腸異物の診断で自然排出困難と考え手術を施行した.回盲部から110cmの回腸内に径4cmの硬い腫瘤と同部位腸管の色調変化を認めた為,回腸部分切除を施行した.腫瘤は径4cm, 25g,褐色で硬く,割面は年輪様構造を呈し,胆汁酸成分の腸石であった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.59.2592