20mm以下の進行大腸癌症例の検討

10年間に経験した20mm以下の進行大腸癌22例と,同時期の21mm以上の進行大腸癌439例を比較した.男女比,占居部位は差がなかった. 20mm以下では平均年齢は若く,深達度mpが多く,脈管侵襲,リンパ節転移は有意に低かった.治癒切除率は高く,その予後は21mm以上より有意に良好であった.また, 20mm以下22例の中で検討すると,肉眼型と深達度の関係では,隆起型ではmpが70%(7/10)を占めた.陥凹成分を有するIIa+IIc類似型, IIc類似型では深達度が深く, mpは33%(4/12)のみであった.発育様式はpolypoid growth 5例, nonpolypoid growt...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 10; pp. 2470 - 2476
Main Authors 大畑, 昌彦, 小山, 勇, 安西, 春幸, 小沢, 修太郎, 小川, 展二, 大塚, 健二, 沼尻, 良克, 渡辺, 拓自, 篠塚, 望, 山崎, 達雄, 尾本, 良三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.10.1998
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Summary:10年間に経験した20mm以下の進行大腸癌22例と,同時期の21mm以上の進行大腸癌439例を比較した.男女比,占居部位は差がなかった. 20mm以下では平均年齢は若く,深達度mpが多く,脈管侵襲,リンパ節転移は有意に低かった.治癒切除率は高く,その予後は21mm以上より有意に良好であった.また, 20mm以下22例の中で検討すると,肉眼型と深達度の関係では,隆起型ではmpが70%(7/10)を占めた.陥凹成分を有するIIa+IIc類似型, IIc類似型では深達度が深く, mpは33%(4/12)のみであった.発育様式はpolypoid growth 5例, nonpolypoid growth 17例と表面型早期癌由来のものが多かった.リンパ節転移陽性例は3例(13.6%)で,それらの肉眼型はいずれも陥凹成分を有し,発育様式はnonpolypoid growthで,深達度はss(al)であった.以上より,陥凹成分を有する20mm以下の進行癌は局所進展性の高いものが多く注意が必要である.しかし, 20mm以下の進行癌全体の予後は良好で,若年発症のこれらの病変の発見が重要と思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.59.2470